奈良市西笹鉾町

ケッタイなぐあいですなあ

 

関西では奇妙なという意味で 「ケッタイな」 ということがあります。「奇態な」 のなまりでしょう。 手のしびれや痛みがすっととれたので、ケッタイな、といわれてしまいました。

二種類のしびれ

Tさんは腰と膝の両方の痛みを訴えて来られたご年配の女性でした。 二日ほど前から腰の痛みが急にひどくなったという。両方とも単純な症状でしたので、 少しさわるだけで消えてしまいました。そこで、これだけゆがんでいると、
朝茅ケ原
(奈良公園)
他にも何かあるのではありませんかとお聞きすると、手がしびれている、とおっしゃる。

手のしびれ(や痛み)にかぎらず、しびれ(や痛み)には二通りあるように思われます。 まず、神経がどこかで圧迫されて しびれるもの。これは圧迫がとれるとすぐに回復します。

もう一つは 血管が圧迫され神経に十分な栄養が行かずに しびれるものです。 この場合は神経細胞の働きが回復してこないと、しびれば収まらないことになります。 ですから、このタイプのしびれは瞬間に消えるというわけにはいかない。坐骨神経痛のような 慢性の痛みやしびれでは、こういう経過をたどります。

「ケッタイなぐあいですなあ」

手のしびれは前者の場合が多いようです。Tさんの場合、まず胸鎖関節(鎖骨と胸骨の関節、 のどの下の肋骨のすぐ上、左右にある二個のぐりぐりがこれです)がずれていた。これを調整すると、 しびれが少しましになりました。しかしまだあるとおっしゃいます。

次に肩の関節をしらべると、かなり硬くなっています。腕を私が手でもって上に挙げてみると、 上まで上がりません。そこで肩の周辺をゆるめてみると、肩がかなりよく上がるようになりました。 しびれはどうか、と尋ねると――ありません。こんなこと言うたら失礼やけど、一生懸命にやってくれてはるのに、 なんやケッタイなぐあいですなあ。今までしびれてたのが、すぐに消えてしもうて――とおっしゃる。 これではほめているのか、けなしているのかよく分かりませんが、よくなったのだから、まっ、いいか。

腰痛も膝痛も、しびれまでもすぐに取れてしまって、私もいまいち充実感がとぼしい。正直いって、 奮闘してやっと痛みがとれたというのなら、それなりの充実感があるのですけれど、 さっさと痛みが消えてしまうと、何だか惜しいような気分になるのは妙なものです。

痛みやしびれをむだにしない

こんな具合でTさんの手のしびれは消えました。 これは神経細胞の損傷までにいたっていなかった証拠でしょう。肩のところで筋肉の硬化や、 関節の不具合が生じ、神経がこれで押えられていたものと思われます。体温を計るのに、 脇の下で計ることが多いですね。あれはわきの下を通っている動脈の温度を計っているわけです。 ですから肩を圧迫されると、手まで血液が十分行かなくなることが多い。

ブダペストのライオン

整体の目的は痛みを消すことではありません。痛みやしびれを手がかりとして、 身体のゆがみを取り除いていくことが目的 です。その意味でTさんの身体はまだまだゆがみを抱えています。 背骨の彎曲や、足の問題が残されているにちがいありません。

腰痛など痛みがとれることを目的に来られる方に申し上げたいのは、痛みがとれたからといっても、 それだけでは不十分だということです。痛みは、身体が発している危険信号です。 どこかがこのままでは危ないよ、はやく手当てをしなさいよ、と身体が訴えているわけです。 ですから、痛みが出たのを感謝して、この機会にゆがみを取り除いておこう と考えていただきたい。そうすれば、からだの痛みがむだにならず、あなたは健康を維持できるというわけです。