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奈良市西笹鉾町 |
かかとを正しく
踵(かかと)の曲がっている人が多い。恐ろしいことを言わないで、などと言わないでください。本当なんですから。 身体が歪(ゆが)むと歯が歪む大学受験中のFさんが来ました。彼女は以前にも来たことがあるんですけれど、 歯の矯正をしていたために今ひとつ効果が出にくかったというのが本当のところでした。 歯の矯正は考えものです。たしかに見た目を重視して、こどものうちに美しく直しておきたいという気持ちは分かります。 でも歯に強制的な力をかけるわけですから、 その続きである頭蓋骨に不自然な力がかかることは考えられているのでしょうか。
信じられないかも知れませんが、頭蓋骨は簡単に動きます。 「こんな硬いものが?」 と疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。 そんな方は誰かの頭のてっぺんに手をあてて、しばらく(5分間ほど)じっとしてみてください。 そのうちに、相手の頭蓋骨が呼吸に合わせてわずかながら動いているのが分かってくるでしょう。 それほど頭蓋骨は柔らかなものです。 いくつもの骨が集まって頭蓋骨を作っています。 そうしてつなぎ目がわずかに動くしくみになっていて、決してカチカチの塊(かたまり)ではありません。 その一部に強い力をかけるとどうなるかは、考えてみればすぐ分かることでしょう。 身体のゆがみは歯に原因があるという理論がありますけれど、むしろこれは逆ではないかというのが私の考え方です。 つまり、身体がゆがむから歯がゆがむのではないだろうか。いったん生えてしまった歯のゆがみを、 身体を正すことで矯正できるかどうかは分かりません。ただ、歯の矯正をしていると整体の効果が出にくいのは確かです。 おかしな反応が出ることもありますから、いま矯正している人は整体に行かないほうがいい。 肩こりは足からそれはさておき、Fさんはひどい肩こりを持っていました。これは前回そこそこよくなったのですけれど、 また悪くなったといってお父さんがつれてこられた。原因のひとつは胸椎が大きくズレていることです。 胸椎5番が左にズレて、その上の部分が右へ傾いています。なぜ、こんなことになっているのか、 と思いながら正座をしてもらうと、足がおかしい。坐り方が左右対称になっていないんです。 左右の足首の角度がどうも違う。身体のゆがみを調べるのに正坐は有効な方法です。 正坐の坐り方がへんな時は足首のおかしいことが多い。
次に仰臥(あおむけ)になってもらいました。かかとの外側を押えると痛いという。 ここが痛いという人はけっこう多いですね。こういう人は仰臥したときに足首がやや内向きになっていることが多いものです。 内向きになっていなくても、外側にうまく広がらないで、足首をもって外側へ回転させようとしてもうまく回らない。 かかとの骨である踵骨(しょうこつ)が外にズレているんですね。これはカンタンに直せます。 かかとをうしろからつかんでひっぱります。ひっぱると同時に少し内側に力をかける。 そうすると一瞬で踵骨が正しい位置にもどって痛みがなくなります。 さて。右足を正してからFさんに足のぐあいはどうかと尋ねますと、 かかとの骨がほんの少しばかり狂っていただけで靴下の破れ方まで決まるのですから、恐るべきは身体のゆがみですね。 踵骨が少し外へズレているために、重心がやや外へかかってしまうのでしょう。
もったいないのでFさんは、破れた右足の靴下をぬいつくろって履いているそうです。 若い人にしては感心だ――。なんですか、私もそうしている? そうですか、 ものを大切になさっているんですね。でも、ものだけでなくて、自分のからだも大切にしましょう。 家やクルマはぴかぴかに磨きたててあるのに、自分のからだがぼろぼろでは、からだがかわいそうですよ。 踵のズレ、もう一つの場合踵のズレには、もう一つの場合があります。踵が上下にズレている場合です。いつも体重がかかっているところに、 それはないだろう、と思われるかもしれません。ところが、そういう不思議なことがあるのが人体です。 踵骨は、どうやら前後に揺れる習性を持っている骨らしいです。安楽イスと同じ揺れ方です。後の方に揺れた時は、 踵の後が下に行きますから、踵の裏側に痛みの出ることがあります。痛まなくても、 何だか踵の裏に違和感があると訴える人がいます。また逆に揺れる場合も多いようです。 踵が下に行って違和感を感じる場合、どうやって直すか。くるぶしの後あたりを指で上から下に押えて、ぱっと放す。 これを繰り返します。そうすると踵がもとの位置に戻ります。お試しください。逆の場合はどうするか、 逆にすればいいだけのことですから、どうすればいいか、考えて見て下さい。ただし、前後のズレがある場合は、 それも直しておかないと、また同じことになる可能性があります。 (06年11月初出) |