「腰」 って、どこを指すのでしょう。「肩」 という言い方が漠然としているのと同じように、
「腰って何?」 と聞かれると、うまく答えられません。
背骨の分類
背骨と、背骨についている肋骨を上から下へ探っていくと、やがて肋骨がなくなります。
わき腹のところには肋骨がありません。おおまかにいうと、この部分の背骨を腰椎(ようつい)といい、
専門家は記号 "L" (lumbar) で表します。この部分から上の肋骨のあるところは胸椎(きょうつい)で、
記号は "T" (thoracic、Th と表すこともある) です。腰椎のさらに下は骨盤になり、
腰椎に続いている部分は仙骨(せんこつ)とか仙椎(せんつい)といわれ、
記号では "S" (sacral) で表します。腰椎5番なら L5 です。
ついでに言っておくと、頸椎(けいつい)は "C" (cervical) です。
だいたい腰椎と仙骨の辺りを 「腰」 と呼んでいると考えて間違いないでしょう。
背骨の分類をまとめておきましょうか。
C 頸椎 7個 ・ T 胸椎 12個 ・ L 腰椎 5個 ・ S 仙骨 5個
骨盤といえば、だいたいは誰もが想像できるでしょう。ところがその骨盤がどのようになっているかは、
意外に知られていません。骨盤がどのような組み立てになっていて、どこがどう不調になるか、
といったことについて事細かく書いてある書物は、専門書でもあまりないといっていいほどです。
骨盤の両側
骨盤をさぐる時の一番のポイントはまず腸骨棘(ちょうこつきょく、詳しくはもっとややこしい名前ですが、
今は簡単にこう呼んでおきます)です。この位置から説明しましょう。例えばあなたが今ベルトを締めているとします。
そのベルトの位置はおおよそ骨盤の上の端にあたっています。正確にいうと、
ベルトは骨盤の上の方にある腸骨棘で下にずり落ちないように止まっています。
ベルトの下に左右それぞれ骨の突起がありますね。普通に腰骨と呼んでいる飛び出した骨です。これが腸骨棘です。
誰かにあお向けに寝てもらって、腸骨棘がどこにあるかを探ってみましょう。
腰の両脇に、すぐに突起が見つかるはずです。え、お母さんの骨盤を探ってみたら
「ぶよぶよで、腰がなかった」 って? そんな失礼なことを言ってはいけません。
よく探ってみたらゼッタイどこかにありますからね。
「棘」 という字をどこかで見たなと感じたら、それは 「棘皮(きょくひ)動物」 ではありませんか。
典型的なのがウニですね。皮に棘(とげ)があるから 「棘皮」 です。そして、腸骨は骨盤の両側の骨です。
腸骨の棘で 「腸骨棘」。
厳密にいうと、腸骨の下は坐骨(ざこつ)になっていて、さらにその前は恥骨(ちこつ)になっていますから、
腸骨・坐骨・恥骨の三つがひとつながりになっています。これを全体として呼ぶときには寛骨(かんこつ)といいます。
そして両側の寛骨にはさまれた中央上寄りに仙骨があります。上に書きましたように 「仙骨」 は5個の骨でできていますが、
5個の骨が一体になっているので、まとめて 「仙骨」 と呼んでいます。つまり簡単に言ってしまうと骨盤は、
両側の寛骨とまん中の仙骨とからなっているといえます。仙骨の下には尾骨(びこつ)がぶら下がった形についています。
うーん、何だかややこしい話になってきましたか?
仙腸関節
そうして、この腸骨と仙骨のつなぎ目が仙腸関節 (せんちょうかんせつ) という関節です。
関節の名前は、関節を作っている両方の骨の名前からとっていることが多い。
腰椎と仙骨のつなぎ目は腰仙(ようせん)関節ですし、胸骨と鎖骨のつなぎ目は胸鎖(きょうさ)関節です。
でも、こんな風に漢語で何でも表す習慣は何とかならないものだろうか、と思いますね。便利には違いないけれど、
ここには素人を遠ざける 《権威主義》 の響きがあると思いませんか。
この関節は全身にいくつもある関節の中でも特殊なもので、表面から見ると線状になっている。
内部には関節自体の広がりがありますから、正確にいうと面状になっている関節です。この面状の関節が動きます。
当たり前ですね、関節なんだから。面状ですから、ジョイントのような関節ではなくて、単純化して言ってみれば蝶番
(ちょうつがい)のような関節です。寝転がって、脚をあちこち動かして見ると分りますが、
動くたびにこの関節もわずかながら動いています。
しかもこの蝶番には 「あそび」 があります。つまり、少し開いたり閉じたりすることができる。
この蝶番はわずかに上下動、開閉動、左右動をします。このことが実は腰痛にとって重要な意味をもっています。