奈良市西笹鉾町
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くびのしびれ

 

一口にしびれといっても色々あります。まとめて言えば、神経が働かなくなって何も感じない状態がしびれですから、 死ねば究極のしびれが来るといってもいいでしょう。

矯正法の秘伝

Kさんは、京都から1時間かけてはるばる来られた40代の女性です。初めての時、こうおっしゃいました。 ――高校生の時、平均台から落ちた。くびがおかしくなったので整形外科で見てもらったら、骨が1個多いと言われた。 くびの付け根を押さえるとしびれる、膀胱炎になりやすい、白血球が多い、生理痛があり、時々おもい腰痛がある――。

公園の木、大和郡山

骨盤の捩(ねじ)れている人が多い。多くの人が大なり小なり捩れているといってもいいでしょう。 Kさんの骨盤も捩れていました。捩れが大きい時は別として、軽いものは 寝床体操・1 をすれば自分でも直ります。仰向けに寝て、左右で腰骨に違和感のある方のかかとをぐっと突き出します。 そのままの位置で力を入れて耐える。呼吸は自然呼吸で、息をつめないこと。3秒くらいそのままにして、ぱっと力を抜く。 そうして左右の感じ方がどれだけ違っているかを調べます。たいていは腰骨のところにひりひりとした痛みがありますから、 これがなくなったかどうかを調べます。まだ痛みが取れていないようだったら、もう一度くり返す。何度かやれば、 左右の差がなくなるでしょう。これでおしまい。

この原理は、高橋迪雄(たかはし・みちお)さんの 『正體術矯正法』(昭和2年、1927年) という本に書いてあります。

ある形にした時、その不正がなほるやうでしたら、 今度は全身の力を抜いた形――つまりねるのが普通です――にしておいて、その部分だけ必要な形に動かし、 不正のなほる形でヂッと三秒か五秒とめておいて、急に力を抜いて、グダリと落としてしまうのです。この全身の力を抜き、 その部分だけ動かし、暫く止めておいてガタリと力を抜き切る所に、矯正法の秘伝があるのです。

橋本敬三さんの操体法については、本が色々でていますし、あちこちで取り上げられていますから、 ご存知の方も多いでしょう。操体法の本の中で名前を挙げていないものの、橋本先生は 正體術の操作法を取り入れています。高橋迪雄さんが 「不正がなほる」 と表現したところを、 橋本先生は 「楽なほうへ」 と表現したことになります。 橋本先生が高橋迪雄さんの正體術から影響を受けたことが、これで分かります。 「不正がなほる」 のは 「楽なほうへ」 動かした時だというのが、ここから得られる結論です。

骨盤と体重

骨盤が捩れている人の多くは <左回り> に捩れています。<左回り> とは何に対して左なのか。 頭上から見て身体の左の方へ回るのが <左回り> という意味です。腰の位置でみると、右の腰が前に出て、 左の腰がうしろに引けているのが <左回り>。右回りに捩れている人は少なく、 ぎっくり腰を起こす人の多くは左が痛いといいます。

公園の木、大和郡山

なぜこんなことになるのか原因を明らかにしたいと思って古い文献を読むと、 からだの重心の偏りによると昔から考えられて来たようです。さきほどの高橋迪雄さんもそう考えていたようですし、 野口晴哉さんも体重の偏りを重視して、これについて詳しく調べています。

さて、骨盤が左へ傾いていると、背骨が(S字に曲がるときもありますが) 左へ湾曲することが多いので注意が必要です。Kさんの背骨も左へ湾曲していました。 おおきくカーブを描いているだけならまだしも、背中の上の方の骨が左へとび出しています。 これを正しました。どうして正したかは、上のヒントから考えてください。

くびのしびれ

Kさんのことをこの調子で書いているとキリがありません。3回目に来られた時の、 くびのしびれについてだけ書いておきましょう。くびの付け根の特定のところで、 骨の左側を押さえるとしびれるというものです。いつものやり方で、この骨を正そうとしたのですけれど、 くびの左側がカチカチになっていて、とてもゆるみそうにありません。そこでどうしたか。

くびでも背中でもそうですけれど、背骨の脇の筋肉(脊柱起立筋)が硬くなっている人は、 かならずといっていいほど、股関節が硬くなっています。Kさんもあぐらを掻いてくださいとお願いすると、 両膝が上がってしまう状態でした。そこで、うつむきになってもらって、股関節の周辺を緩めました。 再びあぐらを掻いてもらうと、かなりよくなっています。

頃はよしと、くびを触ってみると、はたしてかなり柔らかくなっています。肩こりをよくしようとして、 肩をいくら揉んでもよくならないのは、からだの下のほうが、このように関係しているからです。 今度はいつものように、くびの骨のゆがみを訂正しました。しばらく時間がかかりましたけれど、 すっかり柔らかくすることができましたので、Kさんに、どうですか、と声をかけてみました。 Kさんは、しびれるところを押えてみて、「あ、なくなってる」 と言われた。はるばる京都から来ていただいた 甲斐があったというものです。「20年以上もしびれていたんですね。お疲れ様でした」 と言って、 お送りしました。Kさんは、一応これで卒業です。おっと、骨が一個多いかどうか確かめるのを忘れていました。

 

顎ががくがく   首が回らない

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