奈良市西笹鉾町
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ものの見え方と頸

 

頚椎1番をゆるめると、ものの見え方が変わったという実例です。 目がはっきりする人も少なくありません。

見え方が左右で違う

仮に60代の男性Fさんとしておきましょう。Fさんは別のご希望をもって来られたのですけれど、 意外に早く済んでしまったので、あと何か問題はありませんか、とお聞きしたんです。すると、 目の見え方がおかしいんです、左右で大きさが違うんですよ。眼科で見てもらったんだけれど、 こんなのは分からない、左右で眼球の状態がちがうんでしょうね、 というくらいでおしまいにされてしまったんです――と言われます。

佐保川の法蓮橋

そうして片手で目のまえを押えて、それを左右にぱっぱっと移動して、左右の見え方を比較し、 やはり左右で大きさが違いますね、とおっしゃる(どちらが大きく見えると言われたのかは忘れました)。 と言われてもねえ、左右で大きさが違うという問題はこれまでに聞いた記憶がありません。はて、 どうしたものだろうか、と私は思案します。

頚椎1番がずれている?

こういった頭の一部分に属する器官の問題、つまり目や耳の異常があるばあい、 「頚椎1番」 という一番上にある背骨と、頭蓋骨の関係がねじれていることが珍しくありません。 俗な言葉で言えば、棒の上に突き刺した 「しゃれこうべ」 がどちらかに回転しているわけです。 もちろん目に見えるほど回転していると大変ですが、 ごくわずかのずれでも問題を引き起こしていることがあります。

何しろこの骨はもっとも脳に近いところにあるだけに、神経系統に影響があるのはうなずけますね。 それと同時に、これの調整には注意を要することも当然でしょう。私のばあい、 この骨がねじれているからといって、直接この骨をさわるということをしません。 この骨は後ろに棘突起というでっぱりがないために、 背骨のいちばん上の先端部分をさぐっても触ることができません。 特殊なやりかたをすれば触れなくもないのですが、直接さわると危険なことになるかもしれません。 そこで、私はこの骨の周辺をゆるめるという方法をとります。この方法だと危険はありません。

緩める方法

緩める方法は一つではありません。その一つを書いて見ましょう。まず相手の人に正坐してもらいます。 後に坐って後頭部の中央に触れてみます。頭蓋骨のすぐ下の少しくぼんだ部分 (いわゆる左右のぼんのくぼではありません。そうではなくて真ん中です)、 そこに両手の親指をあてて見ます。左右どちらかにわずかでもずれがあると、 左右の親指の感覚が少し違って感じられます。この体勢で両方の親指をじっとしています。 これを数分間続ける。すると、やがて左右の感触が揃ってきたな、という感覚が生まれてきます。この時、 正坐している相手の後ろに立って頭上から相手の鼻を見る。 相手には両方の膝をそろえて坐ってもらいます。すると、 両膝のあいだの線と鼻の頭が一直線上にくればOK。鼻の向きが膝の間の線から少しずれているようだと、 まだ緩め方が足りませんので、もう少し続けます。

倉敷の蔵

で、Fさんにこの方法をやってみた。終って見え方はどうですか、とお聞きすると、あ、 左右で揃ってみえます。大きさが同じになりました、とおっしゃいます。ああ、よかった。 その後に来られた時に、目のぐあいはどうですか、とお聞きすると、直っています、というお答えです。 一度で目の狂いが直ってしまったことになります。

目がはっきりする

この件で私としては色々考え及ぶことがあります。それは頸を緩めると目がはっきりした、 視力がよくなったわけではないようだけれど明るく見える、などとおっしゃる人がけっこういることです。 あくまで想像ですけれど、ものの大きさが左右で違うというほどでない人でも、 わずかに左右の視覚像が違っているのではないか。その違いが頸をゆるめただけで改善され、 左右の視覚像がうまく揃うようになる。そうすると、これまでよりも像がはっきりして、 明るく見える感じがしたり、目がはっきりしたと感じたりするのではないでしょうか。 斜視も同じやり方で改善することがあります。

Fさんのお陰で、このようなことに考え及ぶことができました。頚椎1番がねじれていると、 なぜこのような現象が起きるのか、それは分かりません。今後、 だれかが実証研究をする必要があるでしょうね。 でも 「なぜ」 という問題は答えるのが難しいことが多いのではありませんか。 例えば 「なぜ重力があるの?」 という質問にうまく答えられる人はだれもいないでしょう。 答えられなくても誰も困らないというのも事実です。みんなちゃんと立っていますから。もっとも、 人によっては、まっすぐ立つのが難しいという人がいるかもしれませんが、それは別の問題です。

目の見え方も、これと同じようなことかもしれません。理屈は分からなくても、 うまくやれば左右の見え方が同じになる。

(2007年2月初出)

首が回らない   頭痛
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