「花粉症の完璧に治る方法があれば儲かってしかたがない」とよく私は冗談に話します。本当のところはどうなのでしょうか。

花粉症は改善するか

マスクをした花粉症の女性Ｍさんが来られました。といっても、整体で花粉症を何とかしたいというのではなく、腰などにあちこち不調を抱えているので、それを改善したいと希望していらっしゃいました。

実習などでよく話していることですが、整体に、何々の直し方というものがあるわけではありません。色々な身体の歪みが複合して様々な症状が出てくるのですから、見かけは同じような症状でも、人によってそれぞれ身体の状態が違います。したがって対応の仕方も同じではありません。

とはいえ、やはりそこに共通する点もあります。花粉症という、一見して身体の内部からやってきていると思われるような症状についても、やはりそこに共通する点があるはずです。涙が出る、鼻水が出る、のどが痛い等の症状を見ますと、いずれも頸から上の問題ですから、少なくとも頸に問題の一つがあるのは間違いありません。花粉症に限らず、頸から上の問題は頸（つまり頸椎）に何かがあると考えて、まず大きくは違わないと思います。

３日ほどよかった

ですから花粉症は頸椎に問題があるには違いないけれど、それだけで解決するかとなると、難しいのが実情です。どこかあるところを直せば、花粉症が消えてしまうというほど単純ではないように感じます。前回Ｍさんが来られた時、花粉症の話が出て、以前どこかの整体で花粉症の人は頸椎２番が歪んでいると言われ、そこを直してもらったら少しよくなったという話しです。

ではやって見ましょうか、と頸椎の上部～中部を整えてみました。それから一月ほど経ってまた来られましたので、聞いてみました。

―― 花粉症はどうでしたか？

と尋ねてみますと、

―― あれから３日ほどはよかったですよ。改善していました。

という答えです。そこで今回も前回と同じようにしてみると、帰り際に、

―― いま鼻がよく通っています。

とおっしゃいます。いずれにしても頸椎の上の方を整えると、花粉症の症状が一時よくなるのは確からしい。ただ、Ｍさんは仕事の関係で、腰をひねる作業が続くので、すぐに戻ってしまうのだろうと感じられます。

で、頸椎上部～中部を整えるのはどうするのか。熟練を要する方法もありますが、誰でもが出来る方法でなければ、皆さんに使っていただくことができないですから、どなたにもやりやすい方法を書いておくことにしましょう。

頸椎を正す

まず、花粉症のご本人に仰向けに寝てもらいます。そうして操者は枕元に坐る。操者は中指を本人の「ぼんのくぼ」に当てます。あとは、この体勢で数分間じっとしているだけです。数分というのは、頸に何か動きが感じられるまでの２～３分程度。

自分ですることもできます。仰向けになって、手の中指を合わせ、「ぼんのくぼ」に当てて数分。これだけです。

こうすると、指先から発するエネルギーのはたらきなのでしょうか。難しいことをしなくても、自然に頸椎の上から中のあたりが整います。また、頸を仰向けにしようとすると痛みがあるような人でも、これでラクになることが珍しくありません。頸椎だけでなく、頸椎と後頭部との関係も改善すると感じられます。

ただし、骨盤の歪みが大きい人では、またすぐに戻ってしまう可能性があるので、そういう人は寝床体操をして、骨盤を直すことを併用すればいいと思います。腰と頸とは密接な関係にありますから。