腰が抜けた

整骨院で電気を当てて、マッサージをして、腰の牽引をして、ウォーターベッドで揺ら揺らした。そうしたら腰が痛くて立てなくなった、という方がいらっしゃいました。仮にKさんとしておきましょう。

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鍾馗水仙

仙腸関節が開きっぱなし

さっそく拝見しましょう。骨盤の真ん中にある逆三角形の仙骨と、その両側の大きな腰骨である腸骨との関節、つまり仙腸関節が開きっぱなしになっていて、仙骨が腸骨のあいだに落ちこんでしまっています。骨盤の上の端から辿っていくと、普通なら少し下がったところに仙骨の上の端があるものですけれど、Kさんの場合は仙骨がかなり下にずれてしまっています。わー、これは酷い。腰の牽引でベルトの掛け方がよくなかったのかもしれません。あるいはマッサージで緩んでいるところを伸ばされたから酷いことになったのかもしれません。仙腸関節を伸ばしてしまって、使い物にならない状態にしてしまっているんです。その整骨院の人はどう言っていましたか、と尋ねると、「大丈夫ですか」と聞いていたけれど、知っているところなので、「大丈夫、大丈夫」と答えて、何とか帰ってきたといわれます。

いわゆる「腰が抜けた」状態です。こういう場合どうすればよいか。人為的に生じた歪みは難しい、と前からお話ししています。仙骨が腸骨のあいだに落ち込んでいるような形になっている場合、繰り返し「便秘の秘法」をすればよろしい。この前も腰が抜けて、道路から這って来られた方がありました。脚に力が入らず、まったく歩けなくなっていたようです。その方の場合も、この操法で解決しています。どうするのかと言われると、言葉で書くのは難しいですが、まあ、やってみましょう。

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南蛮煙管

対処のしかた

手の薬指の付け根に長い骨(中手骨)がありますね。これを手首の方へ辿って来る。手首の筋がありますが、その筋から3センチほど指先側の外側から斜め 45度に1センチほどの線を、空いている側の手の指でなぞる。これを両手について行います。これだけなのですが、お分かりですか。分かりにくいでしょうから下の図をご覧ください。

この操作を 20秒くらいの間隔を開けて、繰り返しするのです。すると次第に仙骨の落ち込みが修正されてきます。 10回ほど繰り返したら、立ってもらって痛みがどの程度に軽減しているかを尋ねてみる。まだダメならもう少し繰り返します。そのあとの操作もありますが、何分にも言葉で書いても分かりにくいですから、詳しいことを知りたい方は、予約をとって来てください。詳しくお教えします。

(便秘の操法に限らず、何かを個人的に教えてほしいという方、メールでは答えようのない質問をしたい方は、予約をとって来てくだされば助かります)。

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便秘の秘法

便秘の秘法

「便秘の秘法」という名前がついているのは便秘にも効くからなのか? はい効きます。ただし、その場合は1回なでるだけでいいんですよ。何度もなでないように。1回なでただけで数時間後に便秘が直ってびっくりしたという人もいます。もちろんこれは便秘の原因が骨盤にあった場合です。大腸に何か原因があって、便秘になっているような人はだめでしょう。試してみる価値はあるでしょうけれど。ただし、試すなら床から起きた時にしてください。朝は仙腸関節が閉じて行く時なので、秘法をすると、ちょうどいいからです。

それでKさんは、どうなったか。最終的に痛みがとれて帰っていかれました。でもあれだけ酷いと、また再発しているのではないかという心配もあります。「朝から整骨院へ行って、その次、整体に行って、それでここです。今日一日、いったい何をしていたんでしょう」とぼやきながら帰って行かれました。なんにしろ牽引というのは、あまり役にたたないばかりか、怖いことが多いようです。ただ、翌々日にはKさんからメールが来ました。よくなって仕事に行っているという礼状でした。まずはよかった。

( 2011. 02 初出 )