横 臥
横臥すると身体が歪むのではないだろうか。身体が歪んでいると横臥したくなるのだろうか。
横臥すると頭部が歪む
あなたは、どんな格好で寝ていますか。仰臥(あおむけ)それとも横臥(よこむけ)?夜中に寝返りを打つから、決まっていないですか。【 横臥という言葉は必ずしも横向けに寝ることを意味していないかもしれませんが、ここでは、そういう意味に使っておきます 】
私は常に仰臥です。しかし横臥の人も多いようなので、そのことが以前から気になっていました。そこで、実験的に横臥で寝てみました。いつも仰臥で寝ているものですから、横臥はしにくい。というより苦しいというのに近い。自分の体重がどこに行けばいいのか分からない感じがします。
で横臥をしてみて、どうなったか。夜中に目覚めた時に自分の顔を両手で押さえてみて、驚きました。ひどく歪んでいたからです。左の頬骨が飛び出し、右の頬骨が凹んでいました。これはまずい。
顔面の歪みは体幹部の歪みと相関しています。例えば鼻筋が歪んでいる人は、背骨が歪んでいます。目の大きさや出っぱり方が左右で違うと視力差があります。頬骨の歪みは骨盤の歪みを反映しています。
ですから、体幹部を整えるために、顔面を整えるという方法が可能ですし、逆に顔面を整えるために、体幹部を整えるという方法も可能です。その顔面が歪んでしまった。頬骨に力が横からかかったということもあるでしょうし、横向けに寝たために体幹部が歪んだ結果、顔面が歪んだということもあるだろうと思われます。いずれにしても手の平で触ってみて歪んでいると感じられた。鏡を覗いてみると、やはりかなり歪んでいました。
しかしこれを否定する人もいらっしゃるでしょう。自分はいつも横を向いて寝ているけれど顔面はさほど歪んでいない、という人がいらっしゃると思います。横向きに寝ると顔面が歪みますよ、と主張したいためにこれを書いているわけではありません。顔面にはあまり影響のない人もいると思います。
私はただ、自分自身の実験から、横を向いて寝ると、からだが歪む可能性があるのではないか、と言いたいだけです。
歪みがあるから横臥する
ところで、逆のことも言えるのではないか。逆というのは、からだが歪んでいるから、横に寝るのではないか、ということです。これは『正體術矯正法』の本に何度も出てくるテーマで、高橋迪雄さんは、背中の厚みが左右で違うと、仰向けに寝にくい、ということを繰り返し書いています。確かに背中の厚みが左右で違う人に、仰向けに寝にくいですか、と尋ねてみると、そうだという返事が返ってくることが多い。
背中の厚みが違うという表現が分かりにくいとすれば、正坐するか、椅子にまっすぐに坐ってもらって、背中をみると、左右が平らでない人がいます。厚みが違うというのは、そういうことです。そういう人は、仰臥しにくい。仰臥ができないわけではないけれど、仰臥すると、何か落ち着かなくて、うまく寝れない感じがするという人です。
いずれにしても簡単にいえば、仰臥が気分的にしにくい、という人は背中に歪みがあるはずです。
もう一つ、横臥の問題は、肩を傷めることです。肩を傷めている人は、多くの場合、横臥しているのではありませんか。悪い方を下にして。ですから、五十肩の人、あるいは五十肩になりかかっているような人は横臥を避けた方が無難です。まあ、五十肩になっていれば、痛くて悪い側を下にして寝るのは出来ないかもしれませんが。これは、肩関節そのものが圧迫されることも要因になっているでしょう。でもそれだけではなく肘関節を傷めているのではないでしょうか。下敷きになっている肘に負担がかかっているわけでしょう。
以上のことから、肩を傷めている人は、体幹部に捻れがあります。ですから、悪い方の肩を上にして横臥してもらい、体幹部をねじると肩が楽になる可能性があります。誰かにやってもらうのがいいけれど、自分でやることもできます。悪い方の肩を上にして横臥し、ヨーガのねじりのポーズをするんです。
お釈迦さまの入寂図をみると、横臥しておられますが、お釈迦さまは、どうだったのでしょうか。
( 2014. 11 初出 )