ムドラー (印)
手の指を一定の形にする「印」というものがありますね。仏像はたいていそういう手の形をしています。これが身体にいい影響を与えとすれば、しないでおく手はありません。
ヨーガの行法
ヨーガの行法の中に「ムドラー」と呼ばれるものがあります。高度な技法の一つで、ヨーガ体位(アーサナ)も満足にしていない人には難しいとヨーガの文献に書かれています。でも、手の指を一定のかたちにすれば、そのまま行法になるという易しい面もあって、難しいアーサナまで実習していない人でも、ムドラーをすればそれなりの効果が期待できると思われます。
インドの女性ヒーラー、スリー・チャクラバルティSree Chakravartiさんの『聖なる旅路』という本(私はたいへん興味を持って読みました。ヒーラーを目指している人には参考になる本です)を読んでみますと、いくつかのムドラーを被術者にしてもらって効果を上げていると書かれています。その一つを取り上げてみましょう。
ピースサインのように
といいながら、いきなり話が変わりますが、若者たちが写真を撮ってもらう時に「ピースサイン」をしますね。誰があんなことを始めたのか、まるでそうしないと除け者になりそうな勢いです。私などはピースをしている写真を見るたびに違和感を感じるのですが、まったく意に介していない様子でやっている人が多いようです。
あのピースサイン、というかジャンケンのチョキの形といった方がいいでしょうか。示指と中指を突き出し、残りの3本の指は手前にまとまっています。もう少し詳しく書くと、小指と環指を曲げ、その上に親指を重ねる形になっています。手前の3本指を重ねずに、3本の指の腹を3本束ねる形にすれば、プラーナ・ムドラーという形になります。示指と中指を突き出しているのは同じです。
「プラーナ・ムドラー」を日本語に言い換えてみましょう。まず「プラーナ」にあたる日本語は「活力」または「気」です。次に「ムドラー」にあたる語は「印」だと思います。ですから「活力印」とすればいいと思います。以後、活力印=プラーナ・ムドラーとご理解ください。
プラーナ・ムドラーを連続して45分すると、若返り、エネルギーの補充といった効果があると、チャクラバルティさんは書いています。がん患者にも効果があるそうです。じっと静かにしなければならないわけでなく、歩きながらでも効果があるそうですから、試しに私は両手をプラーナ・ムドラーの形にして歩いています。こうしていると、掌があたたかくなって来て、もやもやとした気感がえられます。あくまで想像ですけれど、3本の指を束ねることで、ここにエネルギーの通路ができるのでしょう。できるだけ両手でする方がいいそうです。
でも、常に続けていることが難しければ、例えば改札機を通る時など、一瞬は片手を離してもOK、本を読みながらするのなら、ページをめくる時には片方の指を離してもOKだそうです。また45分続けるのが困難な時は、30分を2度すればいいと書かれています。そんな手をして歩いていたら「変な人」と思われるのではないか、とおっしゃるのですか。どうぞ「変な人」と思われてください。何も気にすることはありません。
パワーストンの功罪
ここで関連する別の話題になります。パワー・ストーンをブレスレットにして手首に掛けている人をよく見かけます。そうした石の中には、ちょっと手をかざしてみるだけでビリビリ感じるものがあります。ですからパワー・ストーンの類は人の物質体に影響を与えるのでなく、活力体に影響を与えていると感じられます。そうすると、片手だけにパワーストーンをすると、活力体が歪むことになるのではないでしょうか。
ムドラーの場合のように一瞬だけ左右対称を解除するのならいいですけれど、ずっと左右非対称であれば、歪みが出てくる可能性を否定できないと思います。これが杞憂であればいいのですけれど。
先日、からだほぐし教室の時にこの話をした時に、北海道から来られた方が、指輪をすると、瞬間に上の方まで何かがずっと来るのを感じるので、しなくなった、とおっしゃっていました。指輪も左右非対称ですから、やはり同じような影響があるかも知れません。特に金属は別の問題があります。2種類の金属を身につけるとそのあいだにわずかながら電池の作用が働いて、微電流が流れる可能性があることです。歯に詰め物をしている人が多いですから、指輪をしているだけで微電流が流れ、こちらは物質体を歪めている可能性が否定できません。
もちろん、問題はないのかも知れませんが、私は腕時計も含めて布以外はできるだけ身につけないようにしています。(眼鏡は仕方がありません。メタルフレームでないものを使っています。といってもツルの部分には中に金属が使ってありますから、まったく影響がないとは言い切れないかもしれません)。
というわけで、パワーストーンを身につけるより、ムドラーをする方がいいのではないか、というのが今回の結論です。これならお金もかかりませんしね。まだ若返りの作用は実感していませんけれど、いずれ何かの効果が感じられるようになるだろうと期待しています。手の感覚には確かに効果が感じられますよ。
( 2009. 05 初出 )