トラウマを解放する

関東で整体院を開いているAさんという女性が本を二冊送ってくれました。Aさんは不思議な人で、こういうものが足りないなあと私が考えていると、いつの間にかそれを霊感で察知するのでしょうか。私が知らないものをすっとメールや小包で送って来てくださいます。漠然と思っていたものとは違うのですが、よく考えてみると実はぴったりのものなので、いつも驚くと同時に、ありがたい思いをしています。

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トラウマ・緊張解放エクササイズ

さて本の話です。二冊のうちの一冊をすべて読み、内容を試してみたものの、ひっかかるところがあり、試行中というところですので、ここでご紹介するのは控えたいと思います。もう一冊、数日前に読み終えた本は、デイヴィッド・バーセリ『人生を変えるトラウマ解放エクササイズ』(PHP研究所)です。

この本は読んでいる間は気付かなかったのですけれど、野口整体の「活元」と同じことを別の誘導法でやっています。活元を知らない方に説明するのは難しいので、まずは野口晴哉の『整体入門』(ちくま文庫)を読んで、活元をやってみてください。一言で言えば、ある誘導法をした後じっとしていると全身が振動し始めます。あるいは訳本の表現をつかうと、身体が震え始めます。それでも分かりにくければ、You Tubeに動画があるので、それを見てください。  → You Tube 動画

この動きは「活元」そのものだと感じます。活元は坐って行なうのに、この動画では仰臥でやや膝を立ててやっている点が違いますが。動画に英語でTrauma & Tension Releasing Exercises「トラウマ・緊張解放エクササイズ」TREと書かれているのがお分かりでしょう。野口整体関係の方々は「活元」と少し違うと言われるかもしれませんが、本質は変わらないと私は見ます。

本の内容をかいつまんでご紹介すると ── 。人生には多くのトラウマが生じます。それが身体を硬くする。本人も気付かない硬縮が起きていて、それがさまざまの病変の原因になっている。ある誘導法を行なうと身体が震え出し、それによってトラウマが次第に解放されて行く。トラウマが解放されるのに従って病変も改善して行く。

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チコリ

仙骨を中心とする動き

こう言った説明を読んで、なるほど「活元」というのは、そういうトラウマ解放のメカニズムだったのか、と納得しました。単に身体がほぐれるという効果だけではなく、身体の中に溜まりに溜まっているトラウマを解放する力があるということです。

それが「仙骨」とどういう関係にあるのか。それは「活元」なりTREなり、やって見ると分かります。仙骨を中心とする部分がまず震える。この本では「腰屈筋」群hip flexorsと書かれています。大腰筋、腸骨筋などの腸腰筋、大腿の前にある腰をかがめる方向に働く屈筋、それらをまとめて「腰屈筋」と呼ぶらしい。活元なりTREなりをやってみると、仙骨を中心として動きがあることが分かります。もちろん仙骨が震えるのでなく「腰屈筋」が働いて震えるのでしょうが、感覚としては仙骨を中心に震える感じがする。

整体関係でも仙骨を特別に重要な骨と考える流派がありますが、それと活元がこんなところで結びついているとは想像もしなかったことでした。はじめ私が整体に興味を持ったのは、実は「活元」でした。それにほぼ40年を経て別の形で巡りあうとは奇縁というものです。

いま少し付け加えておきますと、「活元」と同じ趣旨のものは、昔から色々と存在していました。関心のある方は、中野裕道『ヨーガ霊動法』をお読みください。バーセリ博士の本にも、「文化や国が違っても、そこには多くの共通のテーマが見つかりました。そして私は少しずつこれらの人々の気づきや、いろいろな宗教の中にある知恵を学ぶことができました」とあります。バーセリさんは「活元」などをやってみたかもしれません。

( 2012. 10 初出 )