顎ががくがくかくかく

顎ががくがくするとか、かくかく鳴るとか言ってくる人が、どういうわけか意外に多い。こういう人は左右の頭骨がずれているので、これを調整すれば音がしなくなります。世の中、まだまだ知られていない簡単なことがいっぱいありますねえ。

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イギリス
農村の道端

頭蓋骨が左右で歪んでいる

目の高さが左右で違うとか、目の大きさが違う、眉毛の位置が左右で違う、などという人がよくいますね。そんな人は目が下がっていたり小さかったりする側の頭骨が下がっています。そして仰向けに寝てみると、たいてい下がっている側の脚が長くなっている。現実に脚の骨の長さが違うのではなく、股関節や骨盤の具合が不ぞろいになっているのですが、痛みがないかぎり本人は気づかないでしょう。

しかし、頭骨のズレは重大な結果を引き起こすことがあるようです。耳鳴り、頭痛、花粉症、顎関節症など頸(くび)から上の症状には、このズレが関係している可能性があると思ったほうがいいでしょう。ズレがあるかどうかをチェックする方法は、耳たぶの後ろにある大きな突起の下を押さえてみればわかります。下がっている方に痛みがあるからです。しかし中にはズレが明らかにあるのに、痛みがないという人もいますから、痛みがなくても試みる値打ちはあります。

頭のてっぺんの秘密

さて、頭のてっぺんに「百会(ひゃくえ)」というつぼがあることはよく知られています。このツボの左右へ指二本分くらいのところを野口晴哉さんは「頭部二番」と呼びました。野口さんは、次のように説明しています。目の黒目を上に上がっていく線と、両耳を結ぶ線の交点。ここは頭蓋骨の左右の矛盾を解決する点として知られています。ここに軽く両手の親指をあてて、残り四本の指は耳のあたりにあてて、そのまま押さえつけないでしばらくじっと気を送ります。

気を送るというのは何か神秘的な言い方ですね。もっとものに即した言い方にしましょう。この点に親指をあてて、じっと当てている人の指先から呼吸をしているイメージを保ちます。治ってくれとか、治してやるとか、力まない方がいいです。野口さんは「天心」と言っていました。天心でやりなさいと。天のような計らいのない、差別のない心でやりましょう。

ただし、世間話をしながら、などというのは感心できません。それではうまくいかない。やはり集中が必要です。集中といったり、天心といったり、どっちなんだと疑問に思われる人がいるかもしれませんが、天心で集中して、というところでしょうか。これを澄気(ちょうき)と呼んでいる人もいます。

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公園の木
大和郡山

指を頭の上においた時は、頭蓋骨ってカチカチのものだな、という感覚を持たれるかもしれません。しかし、じっと指をあてているうちに緩んでくる。相手の頭蓋骨が、呼吸に合わせて動いているのを感じるようになってきます。もちろん頭蓋骨はあくまで骨ですから、それ自体は硬いものです。それが呼吸とともに、わずかながら開いたり閉じたりしているのが感じられるようになるので、柔らかな感じになるわけです。

顎のがくがくがなくなった

さて、頃はよし、と指を離して、「どうですか、あごは」と尋ねてみましょう。「あ、音がしない。鳴りません。びっくりです。何かしゃっくりのあとみたい。」。「しゃっくりみたいって?」。「しゃっくりの後は、急に動きが静かになるので、何か変な感じがするでしょう。あんな感じです」。―― なるほど。

でも、まだ油断は禁物。頭蓋骨がずれるのは骨盤が傾いていたり、股関節がくるっていたりするからです。そのあたりを調整して、傾かないように安定するまでは気をつけたほうがいいですよ。場合によっては何度か調整を繰り返しながら安定していくこともあります。では、どうぞお試しください。やり方がよくわからない時は、お越しいただければお教えします。

とは言っても、天気がよくてお客さんがない時は、ぶらっとどこかへ出かけますから、かならず電話で、いるかどうか確認してくださいね。