下腿が硬い !
ネット百科事典「ウィキペディア」によると「坐骨神経痛」には、ヘルニアなどによる「腰椎性」、梨状筋が圧迫して起きる「梨状筋性」、原因のわからない「症候性」の3種があると書かれていました。「症候性」は「神経の圧迫が原因ではないため、まだ原因が詳しく解明されておらず、治療が困難」とあります。本当でしょうか。
腓骨が下がっている
「坐骨神経痛」だという方がお二人続けて来られました。お一人は埼玉県、もう一人は三重県と遠方からの方なので、できれば早く楽になって帰っていただきたいところ。ウィキペディアにもあるように「坐骨神経痛」は一般には簡単に解決しないと思われています。どこへ行ってもよくならないので、困り果てて遠くまで脚を運んで来られたというわけでしょう。
お二人の状態は似かよっていました。脛(すね)の外がわにある腓骨(ひこつ)が下がり、脛骨と腓骨のあいだが開いているため、ふくらはぎの横がカチカチになっていましたし、膝のズレもありました。
一般にふくらはぎの周辺(下腿)をつかんでみて硬い感じがする人は、腓骨と脛骨の間が開いていると考えて間違いないと思います。たいていは腓骨が下がっているのも共通です。特に野球、サッカーといった脚をよく使うスポーツをしていた人に、ここの硬い人が多いという印象です。
共鳴で腓骨が上がる
腓骨が下がっているのは、手指の共鳴を使って解決することができます。小指の第二関節の外がわを指先から手前に向けて軽く押さえ、じっとしているだけですから、やる方にとってこれほど楽なことはありません。やってもらっている人は、むしろ何だか頼りない感じがするかもしれません。「こんなんでホンマによくなるんやろか」と思っていらっしゃることでしょう。
でも人によっては、これで足首が変化し、内向けになっていた足首がわずかずつ外へ移動して行くのが見えることもあります。膝のズレも第二関節の下をそっと外から内に向けて撫でるだけ。これで大抵が解決するのですから、 〈 操者 〉 (整体をする人)も 〈 被操者 〉 (整体を受ける人)も負担は大変かるい。ただし、やはりそこにゆがみ方の個性があって、その細部を書くことは難しいですね。むしろ、そこのところが整体の醍醐味というか、操者の技量の差ということになるでしょう。そのほとんどは観察力の差です。操者が被操者の個性をどこまで見抜くかが勝負どころ。
実態は下腿の硬化現象
で、「坐骨神経痛」はどうなったか。長い年月にわたって両脚がしびれ、時に痛みをともなって、ひどい時には歩けないほどになるとおっしゃっていましたが、それが腓骨・仙骨など数個の骨の位置が変わっただけで消えてしまいました。つまり「坐骨神経痛」と呼ばれているけれど、実態は骨盤や腓骨と足首・膝の歪みであったわけです。ですから「症候性坐骨神経痛」というより「下腿硬化症候群」とでも呼ぶほうが実態に沿っているのではないでしょうか。
いくぶんかの戻りもあるでしょうから、本当はお二人には、もう何度か通っていただくのがいいと思いますけれど、遠くの方だからそうも行きません。後のやり方を詳しくお教えしておきましたので、後はご自分で努力されると期待しています。でも、これは遠くの方だけに必要なのではなく、近くの方にも言えることです。操者を頼りにするのではなく、ご自分のからだの力を期待して、後はご自分で努力されるのが一番。というより、自己整体があってほしい姿です。私たちのような操者は被操者に助言をするにすぎません。
( 2008. 04 初出 )