寝床(ねどこ)体操(1)

とてもカンタンで、からだのゆがみを直すのにぴったりの体操です。お試しください。ちょっと腰がおかしい、少し背中が変だ、何だか首が痛い――そういう時にも、ふだんの健康維持にもどうぞ。

骨と筋肉のゆがみを修正する

頭が痛い。なんだかだるい。ふらふらする。手がしびれる。腰が重い。目がくしゃくしゃする。といっても病院に行くほどでもない。でも、こういう軽い症状の中に病気が潜んでいることもありますし、油断ならないことがないとは言えません。そんな時、これからご説明する「寝床体操」を一度やってみてください。やった人はなるほどとうなづき、クセになること請け合い。というより、これをしないと何だか身体のあちこちが落ち着かない、と感じるようになります。

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英ウィルトシャー州ストーンヘンジ

それでは説明を始めます。からだの各部に指令を出しているのは、もちろん脳でしょう。「でしょう」なんて妙な言い方をしました。近ごろは感情がおなかの中にある内臓から来ているという意見が現れ、心の動きを脳が全部つかさどっているのではないことが明らかになって来ました。ですから、からだの各部に指令を出しているのが脳だとは限らないかもしれません。でも、いずれにせよ脳からの指令を伝えているのは背骨ですから、これがゆがんでいたり、働きが落ちていたり、周りの筋肉や臓器を押さえつけていては具合が悪いですね。背骨はからだの司令塔の役割を果たしています。その司令塔が抱えている問題を解消するために、目ざめた時に寝床体操をしてみたい。寝る前に、一日のゆがみを取り除く目的でやってもかまいません。

布団の上で

寒いときなら、フトンをかぶったままでもよろしい。両手の先だけフトンから出して、頭の脇に軽くおく。これは手がフトンの中にあると動きにくいからです。

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寝床体操

[テスト] まずテストをします。フトンの中で左足を少し伸ばして見ましょう。といっても、左足をフトンから思いきり出すという意味ではなく、図のようにちょっぴり向こうの方へ伸ばすだけです。極限まで延ばす必要はありません。力をゆるめて元に戻します。こんどは右側。右足を同じようにゆっくりと伸ばして見ます。元に戻します。

腰骨、つまりベルトを止めている腰の前、両側の骨がありますね。ぐっと伸ばす時に、そこの感覚に左右で違いがなかったでしょうか。ベルトをひっかける腰骨のところの感じが左右で違うことがあります。どちらかが痛いか、痛いほどでなくても違和感があったり、突っ張ったりする。左右どちらの足を突き出した時にラクだったでしょうか。突っ張りや痛みがないか弱かったのは、どちらの足を伸ばした時だったでしょうか。

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ナニワイバラ

[体操] その結果をみて今度は本番です。違和感の弱い側、痛みの少ない側の足だけむこうへ突き出してみましょう。突き出した足は3秒ほどそのままで止めます。つまり左なら左、右なら右、痛みや違和感の少ない方を力を入れて突き出したままにする。3秒たったら、ぽっと力をゆるめて元に戻す。

それから再び両側の足を交互に突き出して見る。両方の感覚が同じになっていれば、それで終わり。感覚がそろっていなければ、同じことをもう何度か繰り返して、感覚差がなくなるまで続けます。

[効果] この体操で骨盤が左右どちらかに傾くのを予防することができます。骨盤が傾くと腰痛の原因になるだけでなく、子宮など骨盤の中にある臓器の働きがおかしくなることがありますから、それを防ぐことができます。骨盤の中の臓器といえば、小腸・大腸もそうですね。骨盤が傾くことによって左右不均等な力が小腸・大腸にかかりますから、一部がどこかで圧迫されて内容物の移動が妨げられるとしても不思議ではありません。骨盤の傾きが便秘を引き起こす可能性もあるわけです。

少し付け加えますと、左右の脚の長さが違う人は、この体操で長さが揃います。長さが違うのは骨盤の傾きによるのですから、傾きが解消すれば自然に長さが揃います。

低反発マットだとか、あの種のものの上ではうまく行かないかもしれません。低反発マットで腰痛になっている例をいくつも見ています。せっかく低反発マットを買ったんだけれど、それから腰痛が治らない、などという訴えを聞くことがあります。これには理由があると思います。

低反発マットに寝る人に、からだのゆがみがない場合は、寝やすいのかもしれません。でも、そうでない場合は、からだの形にマットが変形するわけですから、からだがゆがんでいたら、そのゆがみがそのまま固定するでしょう。からだの歪みという要素をまったく無視していると思います。スプリングの効いたベッドも同じ。私自身もホテルに泊まった時など、寝苦しくていけません。やはり硬い煎餅布団(せんべいぶとん)にかぎります。それから私はもう30年間、枕をしたことがありません。その理由は低反発マットと同じです。赤ちゃんが高い枕で寝ているのなんて想像できませんからね。

続きがあります

これだけのことを朝おきる時にしておけば、一日を快適に過ごせます。あるいは、寝る前に一日の疲れやゆがみを取り除いておくために寝床体操をしておけば、安眠できます。足を交互に突き出しているときに背中を観察してみると分りますが、この運動で背骨がよく動いて、周辺がゆるみ、ゆがみが取れるからです。便秘や生理痛が解消できるかもしれません。ではさっそく試してみてください。さらに続きもありますから、次のページへどうぞ。→ 寝床体操(2)