寝床(ねどこ)体操(2)
「寝床体操 (1)」のつづきです。「体操 (1)」が終ったら、あお向け(上向き)に寝たまま「体操 (2)」をはじめましょう。
【1】 右脚全体を上げ、左脚を越して左脚の左がわに足先を降ろして行きます。右図のような具合です。
【2】 その右脚の膝を、左手で触れるところまで引き上げ、左手を右膝のやや上部に当てて右ひざが床につくように床にぎゅっと押し付けます。
【3】 右肩が床につくように右腕は身体の右がわに降ろします。すると雑巾をねじるように、からだ全体をねじったかっこうになります。
右腕は、まっすぐに伸ばしてもかまいませんし、適当に曲げていてもかまいませんが、右肩が床についているようにしておかなければ、効果が半分になります。何ですか?硬くて、とても肩が床につくところまで曲がらない?じゃあ、何とか行けるところまででいいですよ。床から浮いていても仕方がありません。
でも、床につくのが正常だと思っておいてください。やがて肩が床につく日がくるでしょうから。右ひざを床に押し付けたままでは、肩がどうしても床につかないという人は、すでにからだが硬くなっています。日々精進して、肩が床につくようにしましょう。それから首は右がわを見るようにしたら、ねじりがさらによく効きます。わりあい楽にできるという人は首を腕と同じ右がわに曲げてください。
しばらくそのままの姿勢を保ちましょう。そうすると次第にからだのねじれがなじんできて、はじめ痛かったところが、だんだんと穏やかな感じに変わってきましたね。そうなってから、この姿勢を解いて、仰向けに寝た姿勢にもどります。少しやすんで、次は逆方向です。脚を左がわにねじるのと、右がわにねじるのと、どちらがやりやすいかをじっくり味わってください。反対がわも、硬さがゆっくり緩んで柔らかな感じになってから姿勢を解いてください。
最後に左右どちらかやりやすかった方について、もう一度おなじことを繰り返してみてください。左右の差がないときは、両方をもう一度すればよろしい。今度は初めよりずっとやりやすくなっているでしょう。以上が「寝床体操 (2)」です。寝床体操(1)~(3)を毎朝やってから起きるようにすると、一日をすがすがしく過ごせる自分が発見できるでしょう。自分の肩がしだいに床に近づいて行くのが愉しみになりますよ。
「未病」(みびょう)という言葉がありますね。病気がおきる前に病気にならないようにする。この体操がまさにそうです。一生の宝といってもおかしくありません。私は、何かの都合でこの体操ができないまま起きると、一日なんだかあちこちが具合悪い思いをすることが分かっていますから、毎日この体操を欠かしません。
なぜこの「体操 (2)」が大切なのかを説明しておきましょう。歳をとるとともに、背骨や腰骨の関節がだんだんと硬くなってきます。前まげ・後まげ・ねじりなどが出来にくくなる。これは骨そのものが硬くなるのではなくて、骨のまわりにある筋肉などが硬くなるからですね。これを目に見える形で表しているのは、腰のまがった老人です。このようなことを防ぐことができれば、老化が進むのを抑えることができるでしょう。歳をとっても柔らかなからだを維持することができれば、老化が進むのを遅らせることができる。そのため背骨・腰骨を毎日ねじって柔らかさを保ち続けることが大切だというわけです。
もう一つ付け加えましょう。背骨のゆがみは捻(ねじ)れによるものですから、逆方向に捻ることで、かなりの歪(ゆが)みが取り除けます。つよい側弯(そくわん)のある熟年のお医者さんが酷(ひど)い頭痛もちだからと整体を受けに来たことがあります。この人の側弯は一度ねじっただけで、ほとんどまっすぐになりました。それほど捻りには効果があります。ただしこの効果を長持ちさせるには、しばらく続けることが大切です。
あるいは蝶つがいを思い浮かべてもいいでしょう。半ばさび付いた蝶つがいがあるとします。これを動くようにしようとすると、どうしたらいいですか。おそらくたいていの人は、この蝶つがいを何度も回してよく動くようにしようとするでしょう。背骨も同じことです。背骨をねじって、できるだけ骨と骨との間の関節をラクに動くようにしてやる、これが秘訣です。そうすれば股関節などもわりと動きやすい状態に保つことができます。→ 寝床体操(3)
( 2016. 05 改訂 )