体重の配分 ~ 左右の釣り合い (3)

左右で体重の配分は同じではありません。その微妙な違いをどう扱うか。これを考えます。

phaius
カクチョウラン

軸足と利き足

脚や足にケガとか痛みとかの故障を起こしている人には、たいてい見えない左右差が隠れているものです。ほぼ、【 重心側に故障を起こしている 】ことが多い。もちろん事故など外力による故障もありますから、すべてが重心側と決っているわけではないものの、「法則」といっていいほど重心側に故障が起きていることが多いです。

膝の故障を取り上げてみましょう。膝痛の人は、まず左側の膝から痛くなることが多い。これは左重心で、右足が利き足という関係になっていることを表しています。言い換えると左が【 軸足 】(じくあし)で、右が【 利き足 】(ききあし)になっていることになります。ところが、しばらく左の痛む時期が続いた後で、今度は右が痛くなってくる。これは軸足と利き足の関係が逆転したからだ、と思われます。

仰向けに寝て脚の力を抜いてみると、左足より右足の方が角度が外に開いている人が多い。これは左足の方が全体に硬く、右足の方が自由度が高いことを意味しています。自分でも右足の方が扱いやすくて、サッカー・ボールを蹴るときは右足で蹴る。あるいは車の運転では、ペダルが右側についていますね。あれも右足の方が操作性が高いことを意味しています。左足では急なブレーキに対応しにくい。軸足と利き足の関係が、ここに認められます。でも逆の人もいるから話は複雑になります。車にも左ペダルの車があっていいですね。

phrag
フラグミペディア

釣り合いを成立させる

こんなわけですから、人間の脚(足)は左右対称ではないし、完璧な左右対称を追求しても無意味であることになります。むしろ【わずかな左右非対称を残しておけば操作性が高い】と言えます。さほどに左右の釣り合いというのは微妙なものです。

左に重心があって、右側で操作をする。そのために【重心側に体重がかかり重心側に故障を起こし易い】。しかしそうでない例が多数あります。膝痛の人はまず左が悪くなりやすい。しかしその後、左を右側でかばっているうちに右の膝が痛くなってくる。そういう変化パターンの人が多い。重心が右側に移ったわけです。

してみると、脚や足の故障を改善させたい時は、そちら側に余分にかかっている【 体重を少し減らす方向に身体を変化させればいい 】ことになります。典型的にそういう状態なのは坐骨神経痛です。痛む側の脚に体重がかかりすぎているので、それを減らせばいいことになります。どこを触ればそのようなことが実現できるのか。いくつか要因があります。

お尻の横にある【 仙腸関節 】は体重の分配をしているところですから、ここが大きく関わっているのは確かですが、それ以外にも足首の【 距骨 】(きょこつ)、もう一つは【 腰椎 】(ようつい)が関わっています。このあたりをしっかり整えないと、脚や足の故障はなかなか整わないと言っておきます。

oncidium
オンシジウム

すべてはつながっている

これらについて、以後さらに「左右の釣り合い」の項目を続けます。何だかセミナーでしゃべっているような具合になってきました。毎日やっているとそういう気分になってきます。ずっとサボっていたり、毎日つづけたりと、ひどいムラがあるので、体癖に詳しい人なら、この人の体癖は何種だな、と考えている向きもいらっしゃることでしょう。(体癖については、野口晴哉さんの本を見てください)

でも色々な事柄がすべてつながっていますから、一つ一つをばらばらに取り上げようとしても、うまく行かないことが多い。【すべてはつながっている】と考えることで、次第にものごとの筋道が理解できるようになってきます。個々の事柄は別々でも、それらがすべてつながっている面がある。どこがどのようにつながっているのかを、じっくりと考えてみたい。私も途中の過程では、じっと黙って考えているわけですから、何も書かない時はじっと考えてるんだな、と大目にみていただきたい。

( 2013. 10 初出 )