距骨と踵骨 ~ 左右の釣り合い (7)

足首の距骨はたいへん重要な骨ですが、その下の踵骨が歪んでいると、どうにもなりません。

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カクチョウラン

距骨を整えても

なぜ足首が重要なのかといえば、全身の体重を一手に引き受けるところだから。ここに左右差があると、どうしても上部にも左右差が生まれてしまうことになります。

足首の構造を見てみましょう。まず一番下にあるのが踵骨(しょうこつ)。つまり踵(かかと)の骨です。その上にいつも登場する距骨(きょこつ)が載っている。この2つが土台になって、その上に脚の脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)が立っているのが足首の主な構造です。「釣り合い」シリーズで取り上げた距骨をじっくり調整すると、立ち方が変わると書きました。確かにその通りに違いありません。

ところが何事にも例外があります。距骨の位置を整えてもうまく立てない人が来ました。足首の付け根の前が痛いという同じような症状です。跳び上がって着地する時などに痛いらしい。あるいは階段を降りる時に痛むと言われます。

もちろん距骨をじっくり整えました。ところが痛みがとれないんです。何が原因なのかと色々やってみましたが、まったくダメです。まあいつものこと。何をやってもダメな時がよくあります。こういう時は考え方が間違っている。根本に戻ってもう一度かんがえ直してみる必要があります。一息入れてから考えなおさないと、一生懸命になりすぎて、ものが見えなくなっています。

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フラグミペディア

踵骨を整えると

なぜ距骨を整えてもダメなのか。それはそうでしょう。よく考えれば分かることです。踵骨がおかしいんです。踵骨と距骨の境目である距踵関節(きょしょうかんせつ)が狂っていれば、いくら距骨を整えてもダメなのは当然。ところがこの簡単なことが熱心にやっている時には見えてこないものです。

もうギブアップしようか、と思って一息いれた時に、そうか踵骨か、と来た。距踵関節のところをグッと強く押さえてみると、「あ、痛い」と言われる。これに違いない。さきほどから何か操法をして、階段を何度も上がり下りしてもらっているのですが、一向に痛みがとれないであせっていたわけです。

踵骨と距骨のあいだを整えて、距骨を整え直す。それから階段を上がって、降りてもらいました。「グッド」 という嬉しそうな声。これを待ってました。

結論をいうと、まず距踵関節をチェックして圧痛があれば、圧痛のある側へ気持ちだけ踵骨を傾けてジッと愉気をする。そうすると距踵関節が整います。その上で距骨を整えると、足の左右の釣り合いがよくなる。これが結論です。

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オンシジウム

関節らしくない関節

上の場合とは別の人で、足首の関節=足関節(そくかんせつ)に人工関節を入れている人がいました。手術した当初はうまく動いていたのに、しだいに動きが悪くなって、今では足首がいつも痛く、腫れ上がっている人でした。恐ろしいことに、この方は 「人工関節」 を入れますとは告知されておらず、そのことを知らなかったんです。金属が入ってると言われるのですが、何か様子がおかしいので、レントゲンをとって来てもらったら、人工関節だったというわけです。

この人の足首はわずかに動くだけで、動くともいえない程度です。なにしろ足首がパンパンに腫れ上がっていますから、おいそれとは動かない。しかしこの人も距踵関節を整えると、しだいに動きが出て、痛みがとれてきました。

ちなみに距踵関節について説明を加えておきましょう。距骨と踵骨のあいだに関節があるなんて、たいていの人は気がついていません。でも、その場所を押さえてみてください。かかとの床についているところから3センチほど上に上がったところの、外側または内側です。そこを少し強めにグッと押す。すると、どちらかに痛みを感ずる人が多いことでしょう。それが距踵関節のあるところです。関節があるとも思えない場所ですけれど、立派に関節をなしている。

痛みがあれば、かかと全体を手で包むようにして、しばらくジッとしていてください。痛みがとれてくるはずです。暇がある人は5分でも、そうやっていれば、それで距骨と踵骨のあいだが整ったことになります。

( 2013. 11  初出 )