踵正坐
踵の上に坐る正坐を続けると、背骨が正しくなってきます。試してみましょう。
「金式正座法」
正坐健康法というと、戦前から有名なのは「岡田式静坐健康法」で、一時は会員が万人単位に膨れ上がっていたと言われるほどの隆盛を示しました。ところが代表の岡田虎二郎(1872-1920)が40代で亡くなり、急速にその勢力が衰えたと言われます。これについては以前にも書きましたが、問題は、両足を重ねる形だったために、身体のねじれがひどくなり、岡田さんの健康は衰えたと考えられます。 → ウィキペディア「岡田式静坐法」参照
これとはまったく系統の違う正坐法として、「金式正座法」があります。長野のYさんが、整体の師匠から教わったとして、教えてくださったもので、私の背骨の不調を整えることができたのは、この正坐のおかげでした。詳しい方法は、
金聖一(キム・ソンイル)『朝30秒の正座で腰痛が治る』(ダイヤモンド社)
に書かれていますので、そちらをお読みになれば、と思います。
踵をくっつけて正坐するだけ
世間に色々な「健康法」がありますが、ハウツウ本などを読んで、いつも不満なのは、この時はこうすると書かれていても、どのように応用すればいいかが十分に書かれていないために、マニュアル本の域を出ることがないからです。せめて、その方法を一般化して、色々な場合に使えるように説明されていればいいのですが、そうなっていないものが多すぎます。
ところが、この正坐法は、ただ正坐するだけですから、こんな時はこうする式のマニュアルになっていない。要するに特別な正坐をすればいい、というだけなので、誰でもできます。
と言っても、それが難しい。両足の踵(かかと)をくっつけて、坐ることが要求されるからです。私の記事「正坐のしかた」では正坐について次のように説明しています。踵を両方に広げて坐る「お婆さん坐り」的な正坐では膝が捩れるので、踵を平行にして坐るようにする方がよい ── 。ところが金式では、さらに進んで、両足の踵をくっつけて、その上に坐るように求められます。
まあ、やってみてください。初めての人は、たいていできません。私もこれをやろうとすると、片足の足首が縮んでいるらしく、そこが極端に引っ張られる感じがして、痛くてとても坐れたものではない。30秒だけでいいというので、頑張って坐ること数度、次第に痛みが消えて、踵をくっつけて坐ることが楽にできるようになって来ました。
膝が悪い等の理由で、そもそも正坐ができないという人、あるいはやってみてもどうしてもできないという人は、どうすればいいか。それについては、上記の本をお読みください。
背骨が正常になる
驚いたのは、私の腰椎が後ろへ飛び出しかけていたのが、きれいに治ってしまったことでした。背骨全体の歪みも楽になってきた。骨盤が締まる感じがしたので、教えてくださったYさんに骨盤が必要以上に締まることはないのか、と尋ねたところ、締まり過ぎも、開き過ぎも、全体のバランスの悪さから来ているので、そのような心配はないと師匠が言っている、とのことでした。(このお師匠さんが金さんから学ばれたのか、別のルートから来ているのかは分かりません)
コツがあるとすれば、踵をくっつけると同時に、指先は少し離していてもいい。これです。なぜ、この正坐をすると、背骨が整うのか、理論的な説明は本にはありません。しかし、事実として確かに効果があります。それは否定できない。
踵に坐るので、私はこれを踵式正坐と呼びたいと思います。(「正坐」と書いたり、「正座」と書いたり、混じっていて読みにくいと思われるかもしれませんが、私は「坐」は坐る動作、「座」は坐る場所と、区別しています。「正座」と書く人が多いけれど、動作の意味ですから私は「正坐」と書きたい)
この正坐がどんな人に効くか、それは皆さん各自でお考えください。要するに、骨盤の不調、背骨の不調に原因がある人なら、何らかの効果が期待できるのではないかと思います。
( 2014. 10 初出 )