横坐りや脚組みをすると・・・

床の上で横坐り(よこずわり)をしている女性をよく見かけます。胡坐(あぐら)は行儀が悪いとされているから止むを得ずそうしているのでしょうが、感心できません。また電車の中などで脚を組んでいる人が多いですね。これも好ましくありません。

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長野県諏訪神社 奥の森

重大な結果を招くことも

横坐りは「お姉さん坐り」などとも言われますね。行儀のいい坐り方であるかのような呼び方ですが、決してからだによい坐り方ではありません。試しに横坐りをしてみると、骨盤が左右で違ってくるのが分かります。長いあいだ続けるとどうなるかは言うまでもありません。たいていの人は同じ側で横坐りしますから、骨盤が歪(ゆが)んできて、その歪みが固定します。つまり、同じ側でしか横坐りできなくなる。そうなったら、あなたの骨盤は大幅に歪んでいることになります。

で、骨盤が歪むとどうなるか。いろいろな問題の生じる可能性があります。ちょっとのことなら大丈夫だろう、などと軽く考えて見過ごせることではなく、場合によって重大な症状を引き起こすかもしれません。

[ 注 : すでにどこかに書きましたが、「坐」は坐る動作、「座」は坐る場所を表していて、はっきりした違いがありますので、私はこの二つを区別して書きます ]

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彼はどう坐っているのか

消化器の病気も

たとえば、過敏性大腸炎(過敏性大腸症候群)。最近この病気が増えているそうです。その原因の一つが骨盤の歪みにあるだろうと、私は考えます。つまり、きっちりと正坐せず、横坐りをする人が増えていることが原因の一つになっているのではないでしょうか。

Mさんは百均ショップで働く若い女性。お母さんと連れ立って時々来られます。Mさんの身体は子どもの頃から歪みがきつかったようです。背骨の側弯があり、足首の異常もけっして小さいとはいえませんでした。しかも、整体の施術がおわった後、すぐに横坐りしてしまう癖が抜けません。何度も同じ注意を聞くのもうるさいだろうと思ってそのままにしていましたが、何かなければいいが、と私が心配していたのも事実でした。

ある時、Mさんのお母さんから電話があって、過敏性大腸炎で入院している、と言われます。ああやっぱり、と思わず言ってしまいました。横坐りの癖が直らないから骨盤が歪んだままなんですよ、と申し上げると、お母さんは、そのことを分かっていらっしゃいました。でも起きてしまってからあわてても手遅れです。

何日か経って、Mさんが一人でやって来た。今度ばかりはさすがにMさんも、これはまずい、と思い直したのでしょう。横坐りをしないように気をつけていました。

横坐りをすると・・・

横坐りしている人の骨盤がどうなっているか考えてみましょう。横坐りをする人の多くは、左側に足先を出して右側に膝がくるように坐っています。すると、股関節・ひざ・足首の3点が左右で違った形に固定されることになる。

こんな坐り方を続けていると、骨盤にも左右で違った力がかかり続けますから、骨盤の歪みを生じます。具体的にいうと、右側の腸骨(こしぼね)が開き、左側の腸骨が閉じる形で固定されることになります。仙骨と腸骨のあいだにある仙腸関節の開きが左右で違ったまま固定される形ですね。

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万治3年(1660年)の作

左右の差が生じるだけでなく右の腸骨が前に出てきます。つまり骨盤全体がねじれてくることになります。このねじれが重大な結果を生じる可能性がある。けっして無視できない結果を生むかもしれません。

脚を組むと・・・

座席で脚を組むのも考えものです。右脚を左脚の上に載せて坐る人が多いと思います。この坐り方をすると、どうなるでしょうか。逆の坐り方をしても問題は変わりません。

これも横坐りと同じ現象の生じる可能性があります。右脚を上に載せると骨盤の右側が前に出てきますから、やはり骨盤全体がだんだんねじれてきます。骨盤の右と左が左右対称ではなく、前後にねじれた形になるわけです。つまり、右は前に出て、左はひっこんでいるという美しくない姿になります。するとどうなるか。いうまでもないと思いますが、背骨がねじれてくる。つまり腰痛の原因になるかもしれませんし、側弯の原因にもなります。

そんなことより、坐った時のかっこよさを重視するというのなら、別に申し上げることはありません。でも、痛くなったり、背中が歪んだりするのを、あなたは本当に望んでいますか。結局は全体のスタイルだって悪くなるんですから、そんなことは望んでいないですね。

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写真はいずれも
杉本佳代子さん提供

仰向けになるとよく分かる

左右の歪みがあるかどうか調べようとすれば、どうすればいいでしょうか。仰向けに寝てみることです。左右の足首の開く角度が違う人、これはかなりゆがみの大きくなった人と考えていいでしょう。特にひどいのは、左足が内側を向き、右脚が外側を向いているという人です。こんなふうになっている人の足を元にもどすのは簡単ではありません。あなたの長い人生です。美しい足元をまもりたいですね。 [ 注 : 左右の歪みが分かりにくければ、立ってもらって観察することもあります ]

骨盤がねじれることが直接の原因で生じる症状に、どんなものが考えられるでしょうか。腰痛、便秘・下痢など消化器の不調、子宮筋腫など生殖器の障害、その他。こういう症状に見舞われたくない人は、きょうから横坐り・脚組みを廃止しましょう。私の目からすれば、脚組みをしている人は美しくない。きちっと足をそろえて坐っている人に好感が持てます。これは私の勝手な好みではないと思いますよ。

( 2006. 12 初出 )