一日に何歩あるくか?
あなたは一日に平均して何歩あるいていますか。統計によると、どうやら歩数が次第に減ってきているようです。
一日の歩数が減っている
日本人は一日に何歩ほど歩いているのか。古いところでいうと、江戸時代の街道を行く人たちは一日に40キロほど歩いていたらしい。さらにすごい記録もあって、大名行列が一日に54キロ歩いたという記録を見たこともあります。現在はどうか。厚生労働省の統計を見てみました。昔は万歩計がなかったからでしょうか、古い統計は見つけられませんでした。
男 性 女 性
1997年 8,202歩 7,282歩
2003年 7,503歩 6,762歩
2008年 7,011歩 5,945歩
2011年 7,233歩 6,437歩
一歩の長さは身長×0.4程度だそうです。日本人のおとなの平均身長は男が171センチ、女が157センチ(2010年)となっていますから、男女平均で身長が164センチです。一日の平均歩数を男女の平均で6,800歩として、掛け算してみると、
164×0.4×6,800=約4.5キロメートル
本当にこれだけ歩いているだろうか。ちょっと疑問に思いますが、そのことは取りあえず問わなくても傾向は分かります。2008年を底に少し持ち直しているものの、全体として減少傾向にあることが分かります。この先どうなるのだろうか。参考までに米国の統計数字があります。
男女別不明
2010年 5,117歩
米国の場合、ほとんどが車利用になっている実態があり、日本とは少し違うとは思いますが、傾向としては、日本もこれに近づきつつあるのではないでしょうか。
都会の子どもと田舎の大人
話は変って、朱鯨亭の「からだほぐし教室」での会話から。ある小学校へ行き、子どもの身体の話になって、こういうエピソードを聞いた。縄跳びの耐久性テストをした。どれだけ縄跳びを子どもたちが続けられるかを試してみた。続けられなかった子は、そこで坐る。だんだんに人数が減って行き、最後に残った子どもたちには共通点があった。学校から遠く離れたマンションから通って来る子どもたちだけが残った、見事な対比だったというのです。
つまり、その子どもたちは他の子どもたちより長い距離を毎日あるいている。それが身体の耐久力を養っているのではないか。そのように考えられるわけです。
もう一つ、お客様から聞いた話。奈良県南部のある農村地域から来た方です。骨盤まわりの不具合があったので、少し歩かれた方がいいですね、おたくのあたりなら歩くところは限りなくあるでしょう、と言ったところ、その方はこのごろ農村では歩かないんですよ、たいてい軽トラか自家用車で、農道を歩いていたりすると、「あの人、このごろちょっとおかしい」と言われます、というのです。これには返す言葉がありませんでした。農村では歩かないという話はよく聞くようになりました。都市部の人の方がましなんだそうです。
腰椎が硬くなる
歩かないとどうなるか。もちろん明確な答えがあるはずもありませんけれど、歩くことで骨盤が前後に揺れています。ですから腰椎を揺さぶる運動になることは間違いない。腰椎が硬くなるのが老化の一番大きな特徴といっていいので、歩かないと腰が硬くなるのは確かです。腰が硬くなるとどうなるのか。
いたるところに不具合が発生します。腰椎の2番が硬くなると左右の側屈ができにくくなり、身体を右と左に倒してみると、どちらかが行きにくくなる。あなたも試してみてください。どちらかに倒しにくい状態になっていれば、すでに老化が始まっていることになりますね。
もうひとつの影響は外反母趾です。外反母趾の人は共通して腰が硬くなっています。左右の釣り合いがとりにくくて、歩く時に一方の母趾(足の親指)に過剰な負担を掛けているのではないかと考えます。子どもでも外反母趾があります。すでに老化が始まっていることになります。
腰椎の3番が硬くなると、ねじりができにくくなります。仰向けに寝て身体をねじろうとすると、膝と肩とが遠く離れている人が多い。これもまた腰の硬さの現れです。
( 2013. 10 初出 )