地形と健康
住環境というと、まわりに緑がある、日当たりがよい、周辺にいい人たちが住んでいる、などということがよく気にされます。ところが、地形が健康に与える影響はあまり知られていない。
奇妙な家
以前、奈良市街の東北部に妙な家があると聞きました。その家では電気製品のスイッチが勝手に入ったり切れたりする。フェンスの鉄柱に近づくと、方位磁針が大きく振れる。しかも家族の全員が健康を害している。そういう話でした。
そこを調べる機会があり、方位磁針を持って行きますと、スイッチが勝手に入ったり切れたりする現象は私の行ったときに起きなかったものの、確かに鉄柱の近くで方位磁針が大きく動いて、妙な方向を指すことが確認できました。それも一箇所でなく、あちこちで同じような状態の場所がありました。電力会社の人が来て調べたものの、よく分からないままになっていたそうです。
何が原因なのかと色々考えてみたけれど、あまりいい考えも浮かばなかった。ある時、ふと思いついて図書館にある地質図を調べてみたんです。するとこの場所が、東大寺大仏殿の東を通って南へつづく山ぎわの線、つまり奈良盆地と大和高原の境界線の北端にあたっている。この境い目はほぼ南北の一直線になっていて、大昔に大規模な断層を生じた場所です。つまり、大和高原が持ち上がり、奈良盆地が沈んだわけですね。地質図では、そこが活断層として表示されています。活断層が健康に影響を与えているのでしょう。断層の活動で地下に磁気や電気の動きが生じているのかもしれません。
地下水脈の影響?
話はかわって、先日から来られているKさん。大阪府の某市にお住まいの方で、健康状態が普通でなく、いろいろと問題があります。この方と話をしながら施術をしていました。自分のマンションが丘陵の上に立っている、そこからあちこちに山の頂上がみえて、たいへん眺めがよいとおっしゃいます。それでハッと「地形」という言葉を思い出しました。
試しに間取りを書いてみてほしいとお願いして、簡単な間取り図を書いていただきました。これをO - リングテストに似た方法(複雑な方法なので、簡単には説明できません。関心のある方は、お越しいただいたらお目にかけます)で調べてみると、家の中心部を南北に妙な線が通っている。しかもこの線上に頭をおいて寝ていらっしゃるんです。そこで、この線を避けて寝てみたらどうか、とアドバイスをしました。
そうすると翌日メールが来まして、ベッドの位置を変えてみたら、気持ちがよくなってぐっすり眠れたとおっしゃる。その後の体調も回復しつつあるようです。この南北の線が何を意味するのかは今のところ不明ですけれど、近くに谷があるそうですから、マンションの下に水脈が走っているのかもしれません。あるいは奈良市の例のように真下に小規模な断層があるのかもしれない。いずれにしても、下に何かがあって、それが上に住んでいる人に影響を与えている可能性があります。
住む場所が人に影響を与える
「間取りと健康」と書いたことでいただいたコメントの一つは、次のようなものでした。「作家の井上ひさしさんの自伝に書いてあったことですが、かけ出しの頃に住んでいた借家の1階書斎で仕事をしていたら、だんだんと体の具合が悪くなっていった・・・で、調べたら床下に水がたまって池になっていた!」というんです。これは地下の水分が上に住む人に影響を与えていたのでしょうか。どうもこのようなことが色々あるらしい。文献にも、こういう例の上がっているものがあります。
人の健康だけでなく生物の健康は、すべてこんな具合に地形や場所の影響を受けているのではないか、というのが結論です。廃棄物を埋め立てた後に家の立っている例も奈良県宇陀市にあると聞きました。これなど最悪ですが、さてあなたの住まいは大丈夫でしょうか。場合によって、整体以外の要素も考えることが必要だという例です。
( 2007. 04 初出 )