卵巣の腫れ
骨盤のちょっとした捻れが生殖器に大変な影響を与えているかもしれません。捻れをとっただけで、卵巣の腫れがひいてしまいました。
卵巣が腫れている
他の症状が辛くて来られたEさんですが、話のついでに出た言葉が「卵巣が腫れていると言われています」。下腹部にそっと手を触れてみますと、腫れがあるという左側が確かに少し盛り上がっています。中に水がたまって、もう数年にわたって腫れていると言われ、特に変化がないので、定期的に検診に行くと、いつも、「様子をみましょう」で終わっているそうです。本人としては、悪性のものではないと言われても、あまり気持ちのよいものではないでしょうし、この先どうなるのか心配でもあるでしょう。
普通なら、これだけの話ですけれど、この時なぜか何とか出来そうな気がしました。あくまで「なぜか」であって、理由はありません。何とか出来そうだと思ったのです。それで恥骨の両端にある恥骨結節という骨の尖ったところをEさん自身に触ってもらいました。「どちらが痛いですか」という問いに「左が少し痛いです」という答え。
恥骨操法
それなら何とかなるかもしれない。そうもういちど思います。さっそく恥骨の捻れをとる操法をやってみました。この操法を言葉では書きにくいですけれど、あえて書いてみしょう。手の甲の「薬指の中手骨」を見て下さい。薬指の中手骨というのは、薬指の付け根よりさらに手前の手の本体にある、手首から薬指の付け根(本当は付け根には別の小さい骨があるのですが、それは今は無視して、全体を中手骨と考えておきます)まである長細い骨です。
Eさんの場合は、左の恥骨にやや痛みがあるので、痛みのある左手の薬指は中手骨の長さ(手首から薬指の付け根まで)を1とする時、2分の1の場所、つまり中点から指先方向へ、軽く1センチ撫でます。逆に痛くない右手の方は、手首側から4分の1の点から手前(つまり手首)方向へ、軽く1センチ撫でます。操法はこれだけです。これだけで骨盤の捻れが修正されてきます。
上の図は、痛みが右にある場合について朱鯨亭の『整体全テキスト』から抜粋したものですので、Eさんの場合は左右が逆になります。
この操法をやって、しばらくおき、恥骨の痛みを観察してもらう。まだ痛みがあるようであれば、同じ操作をもう一度繰り返します。観察して、まだならもう一度。こうして左右がほとんど同じ感じになって、あまり痛みを感じなくなればOKです。
腫れが消えた
さて、これでOKかな、という状態になってから、もう一度、下腹部を軽く撫でてみました。すると、左だけやや盛り上がっていたのが、左右とも同じ高さに揃っているんです。なるほど、こういうこともあるんやな、と思ってEさんにも確かめてもらいました。Eさんは終わってから、その足で婦人科へ行かれたそうです。
すると医師は超音波の画像をみて、「あれ、おかしい」とつぶやいた。そこにあるはずの卵巣の腫れが見えないらしい。結局、小さくなっていますね、という言葉と、次は半年後で大丈夫ですよ、という説明があったそうです。Eさんは、ほっとして嬉しそうに電話をして来られたのは言うまでもありません。
さて、この一例だけで卵巣の腫れがすべて解消する、などと主張するつもりは毛頭ありません。でも、今後おなじような例があれば、試みる価値はあるのではないでしょうか。ともかく不思議を感じる例でした。骨盤の位置が正常になったから腫れがひいたのか、それとも初めから腫れなどなく、骨盤の位置がおかしいので画像がそのように見えただけなのか、それは分かりません。
骨盤が内蔵に影響
以上に関連した耳よりな報告を二つ聞きましたので、書いておきましょう。一つは実習に来られていたSさんの場合です。
実習で卵巣の話をしたところ、Sさんが私も卵巣が腫れていると言われています、と言われるので、上と同じことをやってみました。すると、やはり同じように下腹部が凹み、明らかに変化を感じられたので、婦人科を受診してみてください、とお話ししました。
一週間後の実習日、Sさん ── 婦人科にはまだ行っていませんが、生理周期がいつも不調なのに、今回は計算どおりの日数で生理が来ました、とのこと。これはよくあることで、骨盤が整うと生理が予定通りに来る、あるいは、整体を受けて2~3日後に、ずっとなかった生理が始まってびっくりした等の報告をしばしば受けます。その例の一つだろうと思われました。
もう一つは実習に来られていたKさんがメルマガを読んでのお話。高校生の娘が潰瘍性大腸炎で、下痢がずっと毎日続くので、ひょっとして、と思って同じことを試してみたという。自分で恥骨のところを押さえさせた。すると左側が痛く、やや高くなっているというので、そちらを直接押さえさせてみた。驚いたことに、ポキっという音がして、痛みが消えた。その翌日から下痢が止まってしまったというお話しでした。
このケースでは、共鳴を使って骨盤を動かしたのではないこと、すべての場合にポキっと音を立てるわけではないことを注釈としてつけておくことが必要だろうと思います。このような方法を採られた背景には、Kさんがかなり整体の素養をお持ちであることが伺われます。
この大腸炎のように下痢が改善しただけでなく、便秘が消えた報告もしばしばあります。中には3時間後に「もよおして来て困った」という嬉しい悲鳴もあります。いずれにしても、骨盤の捻れが整うことによって、下腹部の臓器の状態の改善する現象がしばしば見られます。骨盤の状態がわずかに歪んだだけで、下腹部の臓器に大きな影響が及んでいることが考えられますね。
( 2011. 11 初出 )