活力体
エネルギーとしての身体
人の身体はどのような仕組みになっているのでしょうか。もちろん解剖学によって、かなり詳細に研究されています。ですから私がここで問題としたいのは 《 物質としての身体 》 ではなく、《 エネルギーとしての身体 》 です。あるいは、《 気としての身体 》といってもいいかもしれません。
もちろん、エネルギーとしての身体などというものは、現代の医学で認知されているとはいえないでしょう。でも、「愉気の実際」の項目などを読んでいただくと、身体は物質だけでなりたっていると考えては理解できない現象が無数にあることが分かります。
そうした考え方の一例として、カナダのリズ・ブルボーという女性が書いた本、『《 からだ 》の声を聞きなさい ―― あなたの中のスピリチュアルな友人 』に書かれていることを引用してみましょう(ちなみにこの本はカナダで空前のベスト・セラーとなり、日本でも版を重ねています。浅岡夢二・訳)。
物理的な肉体(《 物質体 》)は、目に見えない、精妙な、別の《 体 》、つまり 《 エネルギー体 》 あるいは 《 活力体 》 と呼ばれるもので包まれています。この 《 活力体 》 は無数の細い線 ―― 経絡 ―― で構成されており、それが肉体をおおっているのです。
肉体の七カ所で、それぞれ二一本の経絡が交差しており、エネルギーのセンターを作っています。このエネルギー・センターには特にエネルギーが集中しており、このエネルギー・センターはチャクラと呼ばれます。
物質体だけでは理解できない
これは私には、とてもすぐれた身体のとらえ方だと感じられます。東洋の経絡の考え方が取り入れられ、直観的に私たちにも飲み込みやすい考え方になっているでしょう。物質としての身体 《 物質体 》 の表面を無数の経絡が取り巻き、その交差点にチャクラがあるというイメージです。チャクラについてはウェブに色々な説明があると思いますから、ご存じない方はそちらをご覧下さい。
たとえば、手の小指の掌側、第二関節から第一関節にむけて、さっと二度ほど撫でてみてください。すると、これだけでアキレス腱がゆるんで、前屈がしやすくなっているのが感じられるはずです。これは 《 物質体 》 だけでは、いかにも考えにくい現象です。その間に物質のつながりを探してみても、特に何も発見できないに違いありません。でも何か未知のつながりがあることは間違いない。
このようなことは、実は無数にあって、例えば骨折した時は、そこに愉気(手当てですね)をしておけば直りが速い。痛みがある場所に愉気をすると、簡単に痛みがとれてしまうことが多い。鍼を適切なところに刺すと、しつこかった症状がさっと消えてしまう、など。こういう経験はおそらくどなたにもあるはずです。
癒しの技法
先日から私は、《 活元を伴った愉気 》 を試しています(活元については、HPの「自律神経と活元」の項目をお読み下さい)。これをやってみますと、自分の指からエネルギーが放射されるのが目に見えるように感じられます。それは自分の身体から出ていくというより、どこか宇宙からやって来たエネルギーが自分の指を通って相手の身体に注ぎ込まれるような感覚です。しかも自分の手もエネルギーに満ちたように感じ、後がとても暖かく感じます。
具体的にどうするのかを文章で表現するのは難しいので、関心のある人は「からだほぐし教室」に来ていただくしかありません。ただし最近は満員御礼の状態になることが多いので、ひょっとするとお断りしなければならなくなる日が来るかもしれません。
《 活元を伴った愉気 》 と書いた方法は、すでに大正年間に田中守平(1884~1929)という人が使っていたようですし、インドのヒーラーで、スリー・チャクラバルティという女性(『 聖なる旅路 』 絶版 )も同じような方法を使っています。この方法については、いずれ詳しいことをまとめてみたいと思っています。
《 活力体 》 あるいは 《 エネルギー体 》 というとらえ方は、これからの癒しの技法にとっても中心になる考え方ではなかろうか、と考えて、ご紹介しました。整体においても 《 物質体 》 に働きかける方法ではなく、《 活力体 》 に働きかける整体が整備されることが望まれるでしょう。そこでは力をかける方法が次第に副次的になって行くのではないでしょうか。
( 2009. 05 初出 )