前掛けリュック
みなさん、時どき見かけませんか。リュックサックを胸に掛けている人を。ある時、そうしている女性をふと見かけて、あれは何か意味があるかもしれないな、と感じました。
前に掛けてみると
そして自分でもやって見ました。なるほどそうだったのか、と気づいたことが数々あります。
たとえば右肩にカバンをかけると、右肩が上がって上半身が左に傾きます。なぜこんなことになるかと言えば、そうしないと上半身の重みが全身の左右バランスを崩してしまうからです。頭が左に傾いて左に重心が移り、カバンが右に重みをかけるから、左右でバランスがとれます。
そうならなければ全体が右に傾いて非常に不安定になってしまうでしょう。一部の筋肉が不必要な緊張を強いられて、そこに強いコリができてしまうかもしれません。そういう事態になるのを避けるために、身体には力のバランスをとる的確な能力が備わっていると考えます。カバンを左右どちらかに掛ける場合は左右バランスをからだが自然にとっていることになりますね。
色々なメリットが
それと同じように、後ろに荷物をかけると、バランスをとるために上半身が少し前に傾くことになります。これはリュックを背負ってみれば分かることのはずですが、私はリュックを前に掛けてみるまで、うかつにもこのことに気づいていませんでした。
ちょっと試してご覧になれば分かりますが、リュックを前に掛けると後ろに少しばかり身体が引かれます。やや腰がそって、姿勢がよくなりますから、この頃、だんだん猫背になって来たな、と悩んでいるお父さんなどは、ぜひこれを試してみるといいと思います。
つまり、リュックを前に掛けているだけで、猫背対策になる。あるいは背が丸くなって腰も曲がり始めるのを防ぐ対策になります。それだけではなく、いろいろメリットがあります。やってみているうちに、次第にそういうことが分かってきました。
(1) カバンが前にあるので、ものの出し入れが極めて簡単にできる。
(2) 混雑している場所(車内)などで後ろの人に迷惑をかけることがない。
(3) 雨の時に傘の下にくるので、カバンを濡らさずに済む。
(4) 誰かに密かに開けられて中のものを抜かれるような心配がない。
(5) 背中の具合が悪い時に、前掛けにするとバランスがよくなる。
背中が楽になる
最後に書いたメリットは、しばらく続けてみて初めて気づいたことでした。数十分のあいだ背中に背負っていて、背中に引きつれを感じた時に前掛けに変更したら、すぐにその引きつれ感が消滅したことがありました。やや前に傾いていると背中の筋肉が引っ張られて緊張していますが、うしろへ身体が引く形になると背中が後ろ掛けの時とくらべて短縮しますから、背中の筋肉の引きつれが必要なくなるのだろうと考えました。
リュックを背負っていて、背中に汗をかくと不快なものですが、こんな時も前に変更すると汗が飛んでしまいます。
こんな具合にメリットが色いろあります。でも、そんなことを言われても、何だか格好が悪いな、という審美的な問題については個人の好みですから、とやかく言うつもりはありません。
( 2012. 10 初出 )