背骨のつながり

背骨は一番下にある尾骨・仙骨から、首の頸椎までつながっています。このつながりをどう動かすかが整体のポイントの一つ。

整体の常識

70代のお母様とご一緒に来られた女性Nさんからの便りです。

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ポンプ式の井戸(福井市)

母は膝もさることながら、頸椎の調整の効果が大きかったようで、「このところ、何かをしようという気力がなかなか湧かなかったのに、今日は起きたときから身体がしゃきっとして、頭もすっきりしている!」とのことでした。
布団を圧縮袋に入れて押し入れの整理をし、今日は一日張り切っていました。膝も軽いのだそうです。頭がすっきりしている、というのは、昨日、朱鯨亭からの帰りにも言っていましたが。

ここから次のようなことが読み取れると思います。

(1)頸椎を調整すると、頭がすっきりする。
(2)頸椎を調整すると、気力が湧いてくる。
(3)頸椎の調整が膝にも好影響を与える。

このお母様は、聴力が落ちてきたように思うとおっしゃったので、頸椎を念入りに調整したわけですが、それが予想外の効果を発揮したことになります。後日、来られた時に、我が家のテレビの音が小さくなったとMさんはおっしゃっていましたから、聴力もそれなりに回復したのでしょう。すると、次のことも言えるかもしれません。

(4)頸椎を調整すると、聴力が回復する

こんな風にいうと、初めて読んだ人にとっては疑わしい話だな、と感じられるかもしれません。しかし整体に取り組んでいる者にとっては、ここに書いたことは常識以外の何ものでもありません。このようなことを当たり前の前提として、整体に取り組んでいるわけです。ただ、整体を専門にしている人たちからすれば、頸椎といっても何番なのか、という疑問が湧くかもしれません。耳と関係するのは通常3~4番ですから、この辺を特に注意して調整しましたが、その上の1番・2番も柔らかくなるように注意しました。

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ピンクノウゼンカズラ
(大和郡山市)

頸椎1番が狂うと・・

では頸椎を調整するという場合、どの頸椎が多いのでしょうか。頸椎のズレで頭痛を訴える人が多い。この場合は、頸椎2番がズレています。しかし私の印象では、最近とみに頸椎1番のズレている人が増加しているように思いますので、これを取り上げてみましょう。1番がズレると、まず目に影響があります。ものが二重に見える人は1番がズレていることが多いですし、斜視の人も1番がズレています。また、耳の働きとも関係しているらしく、ここを調整すると耳鳴りに変化の生じるケースがあります。ここで挙げたお母様のように聴力がよくなることもあります。

それとともに、脳の直下であるために神経系統の影響が大きい。つまり、うつ、パニック、不安、不眠、といった症状と関係している。要するに現代人が大なり小なり抱えている症状と関係しているわけです。上の例から見ると、気分とか気力とかに大きく関係しているんですね。実は私の頸椎1番も時に狂っていることがあって、そんな時はあわてて直しておきます。私も働きすぎで、ひょっとすると、うつの予備軍なのだろうか?

背骨はチェーン構造

膝との関係については、背骨全体がチェーン構造になっていることを考えてみましょう。自転車のチェーンですね。あれと似た構造になっていて、どこか一箇所を触ると、他の部分に影響が及びます。ですから腰が悪い人は頸も悪いとか、膝が悪い人は腰が悪いから頸もおかしい、というような関係がなりたっていることになります。事実、腰の悪い人は頸椎も直しておいた方がよい、といえますし、頸の悪い人は腰を直さなければならない、といえます。

腰痛の人は、整体処に行った時に背中や頸も調整してくれるかどうかを確認しておけばいいでしょう。触ってくれないようだったら、頸も一緒に調整してくれるように頼めばよろしい。頸を触られるのは怖い、と思っていらっしゃる方が多いかもしれませんが、私なら、直接ぼきぼきするようなことをやりません。ただし逆に、頸だけを調整するようなことをしても、腰が狂っていたのでは効果が小さいかもしれません。頸、背中、腰、さらに膝、足首を一体のものとして調整して初めて色々な効果が出てくることになるでしょう。

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ムクゲ (大和郡山市)

逆に、背骨を全体として調整したければ、まず上と下の端を調整することです。これは自転車のチェーンを考えれば、納得できることでしょう。尾骨・仙骨という下の端と、頸椎という上の端を調整すると、背骨全体が調整されやすくなるようです。時によると、この両端を調整しただけで、背骨がほとんどまっすぐになってしまうことも珍しくありません。

アマチュアはどうすれば?

でも、こんなことを色々言われても、アマチュアはどうすればいいのか、とお叱りをいただくかもしれません。手の甲の中指の付け根に、手首から指の付け根に至る比較的長い骨がありますね。これを手首のところから指の付け根の関節まで、一直線にゆっくり撫で上げると背中全体にいい効果がありますから、お試しください。強い力をかけずに背中に意識をおいて2回ほど繰り返して下さい。ただし、これがいいと聞くと、1日に何度も何度も繰り返すようなことをする人がありますけれど、無闇に繰り返して効果が上がるというものでもありません。撫で上げた後は、しばらく5分間でもジッとしていられる時にお試し下さい。一日中動き回る人なら、寝る直前とか。

それから、もう一つぜひお勧めしたいのは、寝床体操です。「寝床体操」のページに詳しい説明があります。腰・背中・頸に異常を感じる時は特にお勧めです。

( 2008. 08 初出 )