腕の痛み
腕が痛いのは、なぜだろうか。もちろん腕をドンと打ったようなことはありません。前腕の二本の骨が開いているのではないでしょうか。
お客様が来ない
毎日どんな具合に整体と取り組んでいるか、先日の例を取り上げてみます。やっていることは色々と違いますが、このようなやりとりをしながら毎日が過ぎて行くという実例です──。
ある朝、予約を入れている方が刻限になっても一向に来ません。10分経過したので、自宅に電話を入れてみました。しかし呼び出し音だけ。
── (しゃあない。ほんなら、本でも読むか)
と整体の本を取り出して勉強を始める。しかし、来られる気配がない。
―― (この本は何べん読んでも意味がよう分からん。書いた人は、ほんまに分かって書いてんのやろか。ブツブツ・・)
── (この方法よさそうやなあ。これは使えそうや)
── (ええっと、ここをこうしてこうして、しばらく寝てるとええのか)
── (ほおっ。頭の形が変わってるやないか。なるほどなるほど)
遅れてきた人
約30分後、がらっと表の引き戸が開いて、目当ての方が来られた音。こちらも立ち上がって襖を開けに行く。
── あ、おはようございます。
── おはようございます。寒いですねえ。(予約ノートを見ながら)
あのー。◯◯さんは9時からの予定になっていましたが・・・
── ええーっ。ほんとですか。(・・沈黙・・)そしたら私が間違うたんですわ
── ぎりぎりまであと20分しかありませんが、まあやってみましょう。
── すみませーん。
── ええっと。腕が痛いんでしたね。
── そうなんです。右腕が何だかだるくて痛くて。
── じゃあ、拝見しましょう。
── はい。お願いします。
── (腕を少し強く握ってみて)あ、これは二本の骨が開いていますよ。
二本の骨が開く
相手の前腕をつかみます。ただし、あまり引っ張ると相手の肩をこちらに引いて、相手の肩に力が入ってしまいますから、引っ張らないようにするのがコツです。手首の手のひら側、中央よりやや小指寄りのところに、やや凹んだ個所がありますから、これをぐっと押さえてパッと離す。この操作を数回繰り返しました。この間、約30秒。
── どうですか、これで。
── (腕を動かしてみて)ああっ。痛くない。ええっ、どうなってたの。
── 前腕のここのところには骨が二本あるんです。その骨が開いてたんです。
── 開いてるて、どういうことですか。
── そうですねえ。ええっと。ちょっと待ってください。
ピーター君という人体骨格模型の、腕だけ外したものを示して説明します。
── こんな具合に二本の骨があるでしょう。この骨が橈骨で、この骨が尺骨です。 この間隔が開いてくると、色々不都合が起きることがあるんです。
── そんなものなんですか。こんなに簡単に痛みが消えるんですね。
── いやー。いつもこんなにうまく行くもんやないです。
── でも、本当に痛くない。
── たいていは、こんな簡単には行きません。 どこの病院へ行っても相手にされんような、ややこしい人が次々来はりますから。 終わったら毎日、ヘトヘトです。
( 2012. 02 初出 )