瞑想 (メディテーション) の方法

瞑想と呼ばれるものを大きく分けると二種類になります。

「止」 (1) 深い意識状態になることを目的とする
「観」 (2) イメージを思い浮かべるか、課題の解決に取り組むことを目的とする

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奈良公園の老木

この瞑想の二種類について、古くから「止観」(しかん)という言葉があり、天台大師の『摩訶止観』(まかしかん)という書物が今も伝えられています。「止」は、心を安定させること、つまり想念が渦巻く状態から脱却して穏やかな状態になることです。一方、「観」は「みる」こと、つまり我が心の中をよく見つめることを表しています。「止」が(1)で、「観」が(2)ということになります。

とりあえず、どんなのでもいいから瞑想の練習をしたいという人は、まず(1)を練習することになります。いきなり(2)から入っても成果は期待できません。心が混乱して、いろいろな想念が渦巻いている状態では、すっきりと一つの課題に取り組むことができないからです。

まずは自分の呼吸に意識を集中する瞑想(1)をしてみましょう。ふだんは呼吸を意識することはあまりありません。深呼吸する時くらいでしょう。でも、この瞑想をする時は、呼吸に意識を置き続けます。まず息がどのように出て行くかを観察する。息が出たら今度はどのように入ってくるかを観察する。入ってきた息を1~3秒とめます。これはせっかく吸い込んだ空気が肺の中でガス交換されることなく、そのまま出て行ってしまうのを防ぐためです。

もっと詳しくお話ししてみましょう。呼吸という言葉は、よく言われるように「呼」と「吸」とからなっています。「呼」とは、呼ぶ時に息を吐くことから分るように、息を吐く意味です。ですから、まず息は吐くものと考えられている。口から吐く方法もありますが、今はゆっくりと鼻から吐き出す方法を採りましょう。「ゆっくり」とはどのくらいを指すのかというと、吐いて吸って少し止めて、この1回のプロセスを30秒ほどかけて行なうことを指しています。つまり1分間に2回ほどの「ゆっくり」な呼吸にもって行きます。

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京都 六角堂で

さらに具体的にいいましょう。まず秒針のついた時計を持って練習を始めるといいでしょう。吐く息は17秒ほど続けます。次に吐く息よりは速く吸って行きます。これが10秒。そうして3秒は呼吸を止める。だいたいそんな感じです。

これほどゆっくり呼吸するのは、初めのうち少し難しいかもしれませんが、繰り返すうちに、やがて自然にできるようになります。そうなれば、次の段階に進む準備ができたことになります。先ほど挙げた「止観」という分け方でいうと、「止」の段階を終えて「観」の段階に進むことができます。古く座禅を組む僧侶のあいだで、「止」か「観」かという二者択一があったそうですが、二つのものを別々と考えるからおかしくなるわけです。「止」から「観」に進み、状況によってまた「止」に戻るようにすれば、瞑想は少しも難しいことではありません。