ブレスレットの影響

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ルドベキア

健康器具は健康のためか

ブレスレットが身体を歪ませているのではないか。そう感じられる例が続きました。典型的な一例を挙げてみましょう。皆さん、ブレスレットが身体によいと思って身に付けているのでしょうが、逆の結果に終わっているように思えます。装身具として付けているのか、健康器具として付けているのかは判然としませんが、どうも見たところ健康器具らしいブレスレットが多い。チタンとかパワーストーンとか。

父と娘の組み合わせで来られた一組。お父さんは前回の坐骨神経痛がわずか残っているので、ダメ押しをしてほしいというご希望でした。これが簡単に終わったと思えば、娘さんがすぐさま私の首がおかしいので、ちょっとだけ見てほしいというご希望です。左へ回そうとするとひっかかるというのです。

このごろ私は首の施術をほとんどしません。首には触らずに何とか直すようにしています。その一つは「腕」です。もう一つは「腰椎」ですね。この二箇所を直せばたいていの首の問題は解決します。そこでこの娘さんの場合は左腕が悪いだろうと見当をつけて左手を見ると、ブレスレットが二重になっていて、腕時計まで付けています。それを見て「これや」と断言してしまいました。

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ベルガモット

「あ、すご」

これだけ付けていれば、どうしても腕に負担がかかります。負担というのは何か。一つはブレスレットそのものの重さ。パワーストーンが数多く付けてあるような構造のものはそれなりの重さがあるでしょう。重さは知れたものだとしても、常時その重みが肩や肘に掛かっている負担はバカにならない。筋肉や結合組織に影響して、硬くなっているはずです。

もう一つは皮膚に与える刺激です。例えば歩いている時、腕は常に動いていますから、皮膚とこすれあっています。皮膚に脳と同等の感じる仕組みが働いていることは最近の研究で次第に知られるようになってきました。どのような影響が出るかは、まだよく分かっていません。

こうしたことの結果、左右の腕を比べると、少し左腕の動きが悪い。しかも腕全体が硬くなっています。聞いてみると、いつも左に付けているのだそうです。

そこでブレスレットと腕時計を外してもらって、指を調べてみました。どうやら突き指の痕らしい関節があります。なぜ突き指と分かるか。その関節の両側を術者の指で固定して、僅かに近づける(縮める)方向に動かした方が、逆の方向(伸ばす)方向よりわずかに動きにくいからです。こんな癖があるとだいたい突き指の痕と考えていい。

どこまでがブレスレットの影響で、どれだけが突き指の影響であるかは明確ではありませんが、いずれも影響していると感じられます。突き指を直し、首を回してみるように言いますと、娘さんは首を回してみて「あ、すご」と一言。完璧にひっかかりが取れているそうです。10分程度でした。

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ベニバナ

背骨全体がおかしくなる?

少し蛇足を付け加えておきますと、背骨は頸椎から仙骨・尾骨まで繋がっています。頸椎の動きが悪いのは他の部分も動きが悪いことを表しています。特に腰椎は頸椎と関係が深く、頸椎が悪ければ腰椎もおかしいと考えられる。ブレスレットをしているだけで背骨全体をおかしくしているとすれば、損な話ではありませんか。

健康にいいと言われるブレスレットをするのに反対するわけではありません。付けるなら日によって左右交互にすればいい。それだけです。それなら一方の腕だけに影響することはないでしょう。「一方の腕だけにブレスレットをするのは好ましくない」というのが結論です。

( 2013. 07 初出 )