CMC関節

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ルドベキア

手根中手関節とは

手首を手の平側へ倒してみてください。この動きを「掌屈」とも言います。「しょうくつ」です。この動きをすると手首に違和感や痛みが出るようなら手の骨に異常があります。逆に甲側へ倒すのは「背屈」(はいくつ)です。この場合は手首のところにある骨に位置の異常があります。今回は「掌屈」について考えてみます。

手の付け根、手首の少し手先側に細かい骨が集まっています。これを「手根骨」(しゅこんこつ)などといいます。さらにその先を触ってみると、指に至る手前に細長い骨のあることが分かります。これは「中手骨」(ちゅうしゅこつ)です。骨の名前には馴染みがないという人はネットで「手 骨」と入れて画像検索してください。多くの図が出て来ます。手根骨と中手骨の間にCMC関節(またはCM関節)という関節が見つかると思います。

CMC関節といっても一般には馴染みのある名前ではありません。日本語では「手根中手関節」(しゅこんちゅうしゅかんせつ)ともいいます。これも分かりにくいですね。おまけに発音しにくい。では原語で何というか。CMCの略さない形はcarpometacarpal です。carpalは手根骨のことでmetacarpal は中手骨のことです。この2骨間にある関節を指しています。一つの関節ではなく、それぞれの指の骨の間にある関節で、全体を指してCMC関節と呼んでいます。あまり動きのある関節ではありません。こんなところに関節があると感じている人はほとんどいないでしょう。

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ベルガモット

操法の仕方

でもこの関節が正常に働いていないと手首の掌屈がうまくできなくなります。あるいは別の障害が出てくるかもしれません。そんな場合にどうするか。

やってあげる人は、まず片手で手根骨、つまり手首の先にある細かい骨の集団のところを固定します。親指を甲側にあてがい、残りの指は掌側から支えます。次に反対側の手で中手骨を固定します。固定の仕方は手根骨と同じです。そしてCMC関節を甲側へわずかに倒してみる。次に掌側へわずかに倒してみる。受け手のCMC関節の動きが正常であればどちらへも同じように動きを感じるはずです。ですが異常があるとどちらか一方の動きが硬い。

例えば甲側へは動くが掌側へは動かないと感じるとする。そんな時は動きのある甲側へわずかに動かす気持ちで、両手でCMC関節の両側をじっと押えていると、やがてどちらにも動くようになってきます。最近この方向の異常のある人が出て来たのはノートパソコンを頻繁に使うからではないかと考えています。やや指を反らせてマウスパッドを打つことが多いからでしょう。

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ベニバナ

掌屈ができやすくなる

CMC関節を調整したあと手首の「掌屈」の動きを確かめてみると、うまく動くようになっているはずです。動きの方向が逆なら、逆の方向にわずかに動かす気持ちでやればいいだけです。普通はこの方向の異常が多いはずです。つまり掌側へわずかに動かす気持ちで持続すればいい。

このCMC関節の動きは手首の動きと関連しているだけでなく、肘や肩とも関連していることがありますから、腕の異常があれば調べてみる必要のある箇所の一つです。

ちなみに、両手のCMC関節の動き方を慎重に観察すると、右手と左手とで動きが逆になっている人が多いように感じます。これは身体全体のネジレと関係があるのかもしれません。今後の研究課題です。

( 2013. 06 初出 )