手首がおかしい

手首が少し痛んでも、そのうちに直ると軽くみていませんか。手首は重要なところです。

noka
綾部市の農家

独学の勧め

整体の勉強をしている人から、初めのころはどうやって勉強したのですか、という質問を受けることがよくあります。どこかに書いたことですけれど、私の勉強は当初ほとんど独学でした。つまり、まず本を読んでやり方を知る。次にそれを自分の身体で試してみる。その次は妻やら子どもやらの身体で確かめてみる。そういうのが中心でした。もちろん、このことは今も変わっていないといえます。もう子どもたちはそれぞれ独立して行きましたから、いまは実験材料というと妻しかいない点が違いますが。

今はもっと違うところがあります。色々な本から学ぶことがたくさんありますし、それも大切な要素になっていますが、それよりさらに大切なのは、整体を受けに来られた方々から学ぶことです。学ぶって、どうやって? 整体にいらっしゃる方々の訴えは実にさまざまで、しかも奥が深い。一筋縄では参りません。それにどう対応して行くのか、これが私の課題になるわけです。毎日、難しい応用問題を解くことが要求されます。同じ応用問題は一つとしてありません。ともかく電気をあてて、シップ薬を渡していればいい、というような甘いものではないわけです。

困難な応用問題を解くことで、しだいに、こういう場合はこうすればいいんだなという、問題の解決方法が見えてきます。こういう問題は、こう、ああいう問題は、ああ、という解決の道筋が少しずつ見えてくるわけです。時にはある日パッと解決方法が閃くこともありますが、そういう時は、むかし幾何の問題の解き方がぱっと閃いた時のことを思い出して、うれしくなりますね。こんなことを考えていると、中学・高校のころのことを思い出してなつかしい。そういえば、先日お客様が私と同じ高校の出身であると知って、大いに盛り上がったものでした。どうも私は半世紀ちかく前とあまり変わっていないらしい。

lily
ユリ

膝のどこがおかしい?

さて、前置きはこれくらいにして。手首がおかしい ── そういう経験はどなたにもあることでしょう。前に手をついた時におかしくなったとか、何か力が入った時におかしくなったとか、色々あります。でも本人が気付かないうちに、おかしくなることもあるらしい。来られた時には、手の指が3本しびれていますとか、この指が痛むんです、とおっしゃいます。何がきっかけですか、とお聞きしてもはっきりした答えが戻ってこないことが多い。手首は、いつのまにか狂っていることが多いようです。

4月初めに「足首がおかしい」という記事を書きました。読者のみなさん、すぐにおわかりのように、足首と手首は似た構造をしています。骨の名前も同じような名前がついていますし、働きも似ているところがあります。それはそうでしょう。もともと四足動物の時代には一緒だったわけですから、似ていて不思議はありません。

足首が上に与える影響は非常に大きいものがあります。でも、手首が上に与える影響も、それに劣らないものがあるらしい。上に与える影響というのは、肘や肩だけでなく、肩を経由して背中に与える影響です。いやいや、背中にとどまらず腰にまで影響を与えますから、あなどれません。少し大げさにいえば、手首は全身に影響している、あるいは逆に言って、手首には全身が反映している、という言い方もできるかもしれないな、と思っています。

むかしヨーガを習っていた時「簡易体操」というものを学びました。それには手首を色々な方向へ動かすことが含まれていました。その時は、たかが手首、なぜ手首を動かすことが「簡易体操」に含まれるほど大層なことなんだろう、くらいにシャレのめして思うだけでしたが、いまとなってみれば、なるほど、あそこには深い智慧が含まれていたんだな、ということが分かります。

農家の囲炉裏

膝を触らなくても

さて、あなたの手首を前と後ろへ動かしてみてください。うまくひっかかりなく動きますか。どこかに抵抗感を感じませんか。前も後ろもほぼ直角に近い角度で曲れば問題ありません。もしもそれが難しいなら、何か問題があるかもしれません。あるいは、手首の掌側、甲側を押してみて、どこかに圧痛を感じるところはありませんか。もしも少しでもどこかに痛いところがあるようなら、今のうちに直しておきたいものです。

それから、もう一つ。膝立ちになって前に手をつきます。手先が前方を向いているでしょう。その両手を90度、外側へ回してみてください。手先が左右を向きましたね。今度はそれをさらに90度回して、手先が手前を向くようにしてください。できましたか。まあ、ここまではたいていの人ができるでしょう。では、その手前を向いている手をさらに今度は内側を向くように90度まわしてみてください。なんですか、そんなことができるわけがない? いやいや、できる人はできるはずですよ。そんなの気持ち悪いって? そんなことはありません。ほらあなたのおつれあいはできるじゃありませんか。

できない人は、腕が内側へねじれているんです。これが手首にも影響を与えている可能性があります。手首というのは、なかなか繊細なのに、酷使されているのではないでしょうか。毎日マウスを使っている人、この辺で少し立ち止まって手首のことを考えてみるのもいいかもしれません。

じゃあ、どうすればいいのか、という具体的な方法。これがかなり長くなりそうですから、次回に続く、ということにしておきます。

( 2010. 07 初出 )