指は重要 ~ 手の指の大切さ

手の指がちょっとずれたぐらい、どおってことはあるまい、と思う人が多いでしょう。ところが事実は、他の部分に大きな影響が及んでいることが多い。

onion
玉ねぎの花

手の指を打った

本当に久方ぶりという方が時々お見えになります。Mさんも4年ぶりかそんなところでしょう。メールが到来しました。肩や首がうまく動かない、背中や腰がつらい、股関節も痛む――そういう内容です。

朝早くにお出でになったので、お久しぶりです、という挨拶の後、操法を始めました。いつも通りの手順で進んで行きましたが、左肩がどうも緩みません。右肩よりも前に出たままです。

──左利きではないですね。
── ええ。
── 何か左手を使いすぎのような・・・。左手をちょっと見せてください。ははあ、中指が硬くなっていますね。薬指もです。関節がズレてるんじゃないかな。何かされましたか。
── ちょっと打ってね、それからこの辺が痛いんです。
── ここもズレていますよ。どうされたんですか。何かきついことをされましたか。
── タッパーで打ったんです。
── タッパーって、あんな硬くもないもので、こんなにズレますかね。
── 冷蔵庫を開けながら、しゃべっていたら、手をタッパーにぶつけてしまって、それからだんだん痛くなってきました。整形外科に行ったら、打撲ですと言われました。それから痛いままなんです。変ですね。
── これは関節がズレてるんですよ。
── 体じゅう、あちこち痛くて。

というようなやりとりをしながら、指の関節を整えていきました。ひと通り終わって、痛くありません、という状態になってから肩を操作すると、通常通りの状態になりました。

ichigo
苺の花

指を大切に

このように肩や首がうまく動かない状態になっている時は、手の指がおかしくなっていることが多いといえます。ただ、このMさんもそうですが、手の指が少し痛い程度のことが肩や首にまで影響しているとは思われないでしょう。でも、この辺りがうまく整わない時は、手の指を見ることが必須です。

皆さん方も整体を受けに行かれる時は、手の指のどこかが痛むことがないかどうか、確かめて、それを伝えることが必要です。足の指だって同じこと。上の方に影響していることが少なくありません。

指が痛い時は、早くなんとかした方が賢明です。放っておいて良いことは何もありませんから。やり方ですか。いちばん簡単なのは、痛いところ・違和感のあるところの反対側に「愉気」をすることです。例えば親指の付け根の甲側を押すと痛みを感じるとしましょう。その場合は、圧痛点の反対側、つまり掌側のポイントに「愉気」をすると、3分くらいで痛みがとれます。

「愉気」という言い方に馴染みのない方々に申し上げますが、「愉気」のやり方は簡単です。そのポイントに指を当てます。次に力を十分に抜きます。すると指が皮膚に触れるか触れないかという程度になりますね。そのまま、あと2~3分じっとしていればOKです。うまく行かない人がいるとすれば、力の入れすぎです。本当に軽く羽根のようにやってください。

magamo
マガモ

なぜ指が影響するか

では、なぜ指が大きな影響を他の部分に与えるのでしょうか。推測ですけれど、指にひっかかりがあると、ずっと上の方まで筋膜が連鎖しているからでしょう。筋膜というのは、筋肉をソーセージの中身だと考えると、ソーセージの皮に当たる部分です。皮が硬くなると、それに連なっている次の皮も硬くなるという連鎖が生まれるようです。

手指にわずかな歪みがあると、そこに来ている筋肉の膜、つまり筋膜が硬くなる。すると、それに連なっている筋膜も硬くなる。それが肩まで連なっている、というわけです。筋肉の連なりといった場合、関節のところで複数の筋肉が関係している場所がよくありますから、連なりが長ければ長いほど、あちこちに影響が広がるのかもしれません。

( 2011. 11 初出 )