軽い膝痛の整え方

半月板がズレているために膝痛が出ている場合があります。そんな場合の対処法。

yukka
ユッカの一種 

半月板がズレる

膝痛(ひざいた)に悩んでいる人が多いですね。特に高齢者に多い症状ですが、若い人にも結構みられます。若いうちに整えておかないと、齢をとってから苦しむことになる。カチカチになった高齢者の膝は、かなり扱いにくいものですが、若くて膝のお皿がさほど硬くなっていない人だったら、けっこう整えやすいですから、次のような方法を試してみてください。

そもそも「なぜ膝が痛くなるのか」。ここのところを問題にし始めると、色々なタイプがあって話しが複雑になるので、原因についての議論をするのは避けておきます。つまり以下は現象論です。「現象論」というのは、何が原因かを問題にせず、表面に現れている現象(あらわれ)にどう対処するかだけを問題にする、ということです。

膝が痛いという人にどこが痛むかを聞いてみましょう。すると、膝の内側が痛いと答える人が多いでしょう。しかし人によっては、外側が痛いとか裏側が痛いとか、さまざまな答えが返ってくるかもしれません。つまり、一口に膝痛といっても人によって色々と違っています。なぜか? そんなに違ったところが痛くなるのは何故か? と疑問が湧いてきます。

膝は上の大腿(だいたい)骨と下の脛(けい)骨の関節です。その間に半月板(はんげつばん)という軟骨組織が挟まっているのは、よく知られています。この目で見たわけではありませんが、この半月板がわずかながらズレるらしい。その人の癖に応じて半月板がズレる方向が違う。前後左右にズレます。つまり人によっては、後ろにズレたり斜め前にズレたりするらしい。

「らしい」というのは曖昧な言い方ですが、施術家は体内で起きていることがらを目で見ることができないので、すべてを考えることしかできません。いかにも自分の目でみたように明確にものを言う人がいますけれど、そんな人には「本当に見たのですか」と聞き返してみたい気がします。

「こうだろう」と考えて試してみる。結果が合っていれば、それが正しいと思われますから、以後つかって行くことになる。あくまで仮説と検証です。ですから、初めは自分の身体で実験してみることになります。そんなわけで私は年がら年中、実験を繰り返しています。この前から骨盤をゆるめる実験を続けていたら、腰が痛くなり、あわてて締めることになった──という具合です。

saraca
神聖なサラカ

関節の両側を愉気する

さて、半月板がわずかにズレるとどうなるか。関節のところに圧痛が出ます。どこが関節の場所かは、そのあたりを押さえておいて、膝を動かしてみれば関節面のところが動きますから、すぐに解ります。そこで圧痛の出る場所が関節の内側であれば、「関節内側」と呼んでおくことにします。同じように関節の裏側を押して痛ければ「関節裏側」などなど、です。圧痛の出る場所は、関節面の真横より少し深く後ろへ行ったあたりが多いと思います。そのあたりに【微妙な感触】を感じるところがあり、そこを押すと痛みます。

なぜ関節面のところに圧痛が出るのかといえば、半月板がそちら側に寄っているからだと考えられます。では、それを直すには、どうすればいいのか。簡単です。反対側に愉気をすればいいんです。「反対側」とは何か。例えば関節内側に圧痛があるとします。その場合は、関節外側から愉気をするわけです。つまり関節外側に指を当ててじっとしているだけでいい。押し付ける必要はありません。軽く当てているだけで結構です。2~3分くらい当てていると、圧痛が消えています。半月板の位置が元通りになったということになります。

これまで膝の前や後ろに圧痛がある場合、ときによって色々な操法を選んでやっていましたが、その煩わしさがなくなりました。膝裏が痛ければ、関節表側に愉気をすればいい。膝のお皿の下が痛ければ関節裏側に愉気をすればいい。いとも簡単です。関節外側なら内側、関節内側なら外側に愉気です。もしも内と裏という具合に2つの側に圧痛がある場合は、両方とも愉気することになります。内も外も痛いという人なら、片方ずつ二度やってください。

ただ、これだけで完全に膝痛が解消できるかと言えば、まだ問題が残ります。それは膝痛には足首やら腰椎やらが関係しているからです。本当をいえば、その辺りも変化させておかないと、元に戻りやすいでしょう。ですが、そのことについては、ここでは割愛します。とりあえず以上の操法を繰り返してみてください。そうすると、他のところもカチカチに固まっていないかぎり変化してくるはずです。圧痛が出なくなるまで、毎日、少しずつ愉気を繰り返せばいいでしょう。

oncidium
オンシジウム

距骨も整える

一つだけヒントを付け加えます。足首の距骨(きょこつ)を整えておけば、膝関節が戻りにくくなるといえます。そのためには内・外のくるぶしの下に指を当てて、じっくりと愉気をすることです。できれば10分もやれば完全に変ってしまうかもしれません。膝痛の側の足だけでなく、反対側の足も無視しないで、やって上げてください。もちろん膝に愉気をして、その後で距骨にも愉気をする、という意味ですから、念のため。

特に若くて膝痛の人に言いたいのは、たかが少し痛いだけと無視しないことです。放っておくと、齢とともに少しずつ悪化して行きますから。「若い」とは何歳くらいか、って? 膝痛に関しては50歳でもまだ若いうちだと思います。特にそれくらいの人は放置すると絶対まずい。

( 2013. 11 初出 )