膝痛 (6) なぜ膝が痛むのか

膝が痛む人の腰がどうなっているか。それをよく観察してみる必要がありませんか。

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膝の悪い人の特色

膝の痛む人に上向きに寝てもらった時に、何か気づくことはありませんか。

もちろん、寝方が歪んで「く」の字になっているとか、膝が床から上がっているとか、足の開き方が左右で違うとか、いろいろとあるでしょう。でも、よく見られる、そういう問題の他には何かありませんか、と尋ねてみたい。お聞きしたいのは細かい左右差のことです。ご家族に膝の痛い人がいれば、一度ためしに寝てもらってもいい。

人のからだは実にさまざまです。一人として同じ形の人はいないといってもいいでしょう。考えてみれば不思議ですが、顔がそれぞれ違うように身体の形もみんな違う。まことに天の配剤はみごとだと言わなければなりません。いわゆる「個性」と言われるのは、その人の言葉や立ち居振る舞いを指していますけれど、それ以外に身体の形が違うというのも挙げてみたいと思う。背が高い、太っている、などと全体を見た形も確かにありますが、立ち居の形というのがあります。これが操法をする者にとって、まことに興味深い。

端的な例は、しゃがめない、正坐ができないというばあいです。これは身体の形そのものの問題ではなく、何か動き方に問題があることになりますね。そういう違いが膝の悪い人にないか、というのが初めにお尋ねしたことです。

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チコリ

膝が浮いている

問題にしたいのは、仰向けに寝たとき膝の裏が床から浮いていないかどうかです。ご老体のばあいは、膝が悪ければたいてい膝裏が床から浮いています。左右の脚が両方とも床から浮いていれば、その違いがわかりにくいが、若い人のばあいはどうか。膝に問題のある側が浮いているのに気づくでしょう。これはどういうことを表しているのか。

膝が浮くのは、腰が曲がって来たときです。ですから、片方だけが浮くのは片方だけ腰が曲がって来たことを表しています。立って少しずつわざと腰を曲げて後ろに突き出して行ってください。どうしても膝が曲がってくることでしょう。床から膝が浮くのは、そちら側だけ腰が曲がって来たことを表します。

片方だけ腰が曲がるなんて、そんな馬鹿なとおっしゃるでしょうか。骨盤が捻れてくると、確かにそうなることがあります。例えば左の腸骨が少し後ろに倒れ、右の腸骨が少し前のめりになって来ている人は、仰向けに寝てみると左の膝が床から少し浮いて来る。そういうことです。

shichidanka
シチダンカ

骨盤の捻じれと膝の関係

では、こんな場合どうすればいいか。先日、講座の時に試してみたんです。手首の掌側で手相の生命線が終わるあたり、少し凹みがちになっている個所があるでしょう。その辺りを指先側から手前側へ向けて、爪先でそっと撫でてみます。2~3ミリで結構です。すると、骨盤の捻れが強くないときは、それだけで捻れが改善してきます。捻れが改善すると、膝が浮いている高さも変化して来るに違いない。事実、試してみると確かにそうなりました。

ですから、膝痛の人でも軽症の人なら、手首の掌側の凹みのところを手前に撫でるだけで膝痛が消える可能性があるというわけです。消えないまでも、かなり楽になるかもしれません。どうぞ、お試しください。お年寄りの硬くなってしまった膝はダメかもしれません。念のため。

(これを読んで、膝だけなく別の操法にも気づいたという人もいるでしょう。お考えになってみてください。恥骨です) → 膝痛(7)に続く

( 2014. 05 初出 )