膝痛 (2) なぜ膝が痛むのか
膝関節がゆるんでいると、わずかに関節がズレる。これが膝痛の主な原因です。微小なズレを直すにはどうすればいいか。
不等回転の調子が悪い
膝の関節は、わずかながらグルグルとアバウトな回り方をしています。ある一点で回転する正円の回転ではありません。そこでこれを「不等回転」と呼んでおきましょう。とはいえ膝関節の面積からして、大きな回転をしていることはありえず、せいぜい0.1~1ミリ単位の揺れをしているに過ぎません。この不等回転の調子がなぜ悪くなるのだろうか。
膝が開く
膝を観察しますと、膝の開いている人が多いことに気づきます。「膝が開く」とは、どのようなことを指すのか。膝の外側、膝のやや下にグリグリがあります。これはスネの外側にある腓骨の頭である「腓骨頭(ひこつとう)」と呼ばれるところです。この腓骨頭が外へ大きく出ている人が多い。膝の外側をなでてみると、腓骨頭が飛び出している感じになっている。単に外へ出ているというより、後ろの方へ出てさえいる人もいます。
これを簡単に「膝が開く」と呼んでもいいのではないかと思います。もっと厳密に言っておきましょうか。スネの骨、つまり下腿の軸をなしている脛骨(けいこつ)と、その外側に付属している腓骨(ひこつ)との間にある関節には、腓骨の上端にある「上脛腓(じょうけいひ)」関節と下端にある「下脛腓」関節とがあります。そのうち上端にある上脛腓関節が開いているんです。下脛腓関節は外くるぶしのところにあります。もちろん「上」が開けば「下」も開いていることになるでしょう。
開いている」という言い方が誤解を与えるとすれば、「緩んでいる」と言ってもいいでしょう。ただ、緩んでいるというと、筋肉が緩んでフワフワになっているような状態を思い浮かべる人が多いでしょうが、それとは少し違います。ガタが来ている状態といった方が正確だと思います。機械がガタつき、タガがゆるんでいる状態です。
膝がガタついた状態になって、脛骨と腓骨とがガタガタしだすと、例えば膝を折り曲げる時にゴキッと音を立てることがあります。膝が常に鳴っている人は膝が開いている。時々膝が瞬間だけ痛くなる、という人の場合は、やはり膝が開いています。正常な膝なら不等回転が許容範囲を超えてはみ出すことはないはずですけれど、膝が開いているために正常範囲を超えて動いてしまうのだろうと想像されます。
簡単に膝を締める
こんな時どうしたらいいか。複雑な方法は色々ありますが、ひとつ簡単な方法をご紹介しておきましょう。膝を締める簡単な方法です。
膝の悪い方が右脚だとしましょう。右手の小指を見てください。先の方から第一関節・第二関節・第三関節とありますね。第二関節からほんの少し指先側を手前に向かって(すなわち第二関節に向かって) 3ミリほど左手のつめ先でこすります。これを少しずつずらして数か所こすります。これで開いていた膝が締まってきます。人によれば、これだけで足首の角度が変わるほど効果があります。自分の膝が開いているなあ、と感じる人は、この操作を毎日 1~2回続けてください。何事も「継続は力なり」です。もうこれなら大丈夫といえる状態になるまで、しばらく続けないと、大した効果はありません。 → 膝痛(3)に続く
( 2010. 04 初出、2014. 04 改訂)