膝(ひざ)のお皿をみる

膝(ひざ)のお皿はだいじなところです。膝のようすを調べるのにぴったり。おまけに、だれにでもよく分かる場所です。膝が痛かったら、まずお皿を触ってみよう。

よく動くお皿

脚をしっかり伸ばして座りましょう。膝を曲げてはいけません。そして膝のお皿を手で前後に動かしてみます。よく動くでしょう? えっ、動きにくい? それはたいへん。ちゃんと脚を伸ばしていますか。脚を伸ばしていないと、お皿は動きにくくなります。もしも伸ばしていても動きが悪ければ、そちらの膝に何か故障がありますよ。

左右にも動かしてみてください。これも故障がなければよく動くはずです。ところが中に、動きの悪い人や、うまく動かない人がいます。そして時には、お皿がカチカチでほとんど動かない人さえいます。まずいね、それは。

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奈良市佐紀町 水上池のまわり

膝のお皿は独立した骨で、ほかの骨から浮いていて、自由に動くようになっています。ですからお皿が動きにくい時は、お皿のまわりの筋肉や靱帯(じんたい)が硬くなっている。ただし中には膝まがりのために、膝をしっかり伸ばせない人がいるかもしれません。

お皿の周辺をゆるめる

お皿がうまく動かないときは、とりあえずお皿のまわりを緩(ゆる)めてみましょう。緩めるというと、揉(も)むのですか、と尋ねられることが多い。むやみに揉むと硬くなることが多いので、揉むのではなく、押えたらいいんです。両手の親指でじわっと硬いところを押えます。痛いところがあるかもしれません。痛いところ、硬いところを押えてみます。そうして硬いところや痛いところまで指が届いたら、すぐに指をぱっと離す。これを繰り返します。

硬いところは、お皿の四隅にあることが多いです。特に左上と右上が多い。このあたりをしっかり緩(ゆる)めてください。特に硬いところは、繰りかえし緩めること。これは硬いところを緩める練習にもなります。また硬いところは、まわりだけでなく、ずっと股関節のほうまで続いていることもあります。

まわりが十分に緩んでくると、お皿は少しずつ動くようになってきます。自由にゆらゆらと動くようになるのが理想ですけれど、いっきに動くようになるとは限りません。一度であきらめず、気長に取り組んでください。

膝のお皿が世界の中心

小見出しを見て、またまた大げさな、とお思いになるでしょうか。でも膝が痛い人は、ほんとうに膝が世界の中心、というくらいの意識になってきます。じっさい、膝のまわりの硬いところや痛いところをさわっていますと、股関節や足首までつながっていることが分かってきます。「すじ」というやつですね。

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百日紅(サルスベリ)の花

膝のまわりの外側から上にたどっていくと、太ももの斜め外がたいへん硬くなっている人が多い。これを手の平の付け根に近いところで押えてみてください。膝から腰に少しずつ場所をずらせながら、強めに何か所か押えると、とびあがるほど痛がる人がいる。痛い、痛い、と手を払いのける人さえいます。こういう人は腸骨(ちょうこつ、骨盤の横の骨)が開いています。

膝から下は脛骨(けいこつ)という太い骨と腓骨(ひこつ)という細い骨とからなっています。脛骨の近くの筋肉にふれてみると、これも痛いという人が多いですね。疲労がこのあたりにたまりやすいのでしょう。ふくらはぎは柔らかくしておいたほうがいい。そうでないと、ひざだけでなく、アキレス腱が縮んで、そちらが痛みだすこともあります。

余談ですが、古い時代の脛骨を調べてみると、断面が四角になっているそうです。ところが、私たちの脛骨は断面が三角形です。押えて確かめてください。それだけ脛骨が細くなっているわけです。その変化はひょっとすると農耕時代から始まっているのかもしれません。私たちの脚は弱くなる一方です。もうその極限が近づいているのでしょうか。

さて、話が脱線しました。膝の話にもどりましょう。

膝が曲がっていないか

膝の故障をもっている人でも、軽症ならお皿を緩めるだけで痛みが止まることもありますから、ぜひ試してみてください。ただし膝が大きく曲がっている時は、これでは無理です。曲がっているかどうかよくわからない時は、次のようにして確かめます。

1メートルあまりのヒモを一本用意してください。そしてヒモの片方の端を脚の付け根の中央に持ってきます。そのヒモをまっすぐにひっぱって、膝の真上、つまりお皿の中心を通過させる。ヒモをまっすぐにしたまま、他方の端を足首へもってきます。この時、脚の付け根、お皿、足首、この三点が一直線にくる場合は、膝が曲がっていません。しかし、ヒモが足首の中央に来ない場合は、膝がどちらかに曲がっています。

膝がどちらかに曲がっている場合は、これを直さないと根本的に問題が解決しません。これには慣れが必要ですので、曲がっている人は専門家にご相談ください。ご家族に膝の曲がっている人はいませんか。