膝痛 (3) なぜ膝が痛むのか

脚の長腓骨筋から上に拘縮のつながり(歪み系)が、全身に大きな影響を与えています。

mizubasho
ミズバショウ

表か裏か

足裏に「湧泉穴」というツボがあります。足裏の指先に近いところに肉の盛り上がったところがありますが、それと土踏まずの境界にあるツボです。ここを叩くと血圧が下がると言われるだけでなく、他にも色々な効用を謳われているところでしょう。この湧泉穴の場所が、ほぼ長腓骨筋のついているところです。経絡の考え方からは別の解釈があるでしょうが、場所から考えて、湧泉穴を刺激すれば、長腓骨筋が緩むのは間違いありません。

それから足裏をイボイボのついた道具などで刺激する方法が色々あります。三角棒踏みというのもありまして、三角の木の棒にタオルなどをかけて、その上で足踏みをするものです。たいへん痛い方法ですから、嫌がる人もいるでしょうが、やり出すと病みつきになる人もいるらしい。これも長腓骨筋を緩める効果があるはずです。

それから「外果の下押し」。これは前回にも書いたように笠茂享久さんの『歯はいのち』(文春文庫)という本に紹介されている方法です。外果のすぐ下をAとすると、A点だけでなくAのすぐ後ろ、それからAのすぐ前にも強く押すと痛いところがあるはずです。人によって痛く感じる場所に違いがありますし、痛みの程度も、軽い痛みの人から激痛の人まで幅があるようです。これを 10秒ほど続けると、やはり長腓骨筋が緩みます。これによって遠く肩の三角筋が緩むという説があり、やってみると確かに緩みます。

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アネモネ

足の裏も関係

長腓骨筋が緩むことによって、腓骨の横方向への飛び出しがマシになります。また腓骨が下がっていたのもマシになるでしょう。腓骨の外側が硬くなっている人にも効果があります。

腓骨の周辺が緩むとどうなるか。これが次の課題です。実は長腓骨筋がくっついている腓骨頭には、上から来ている「大腿二頭筋」という筋肉がつながっています。太ももの裏側にある、いわゆるハムストリングスと呼ばれる筋肉群のひとつです。この筋肉が硬くなりやすい。試しに、太もも(特に左の人が多い)の裏を触ってみてください。ゴリッとした、あるいは、コリコリした筋肉が手に触れることでしょう。これが全身に影響を与えているに違いない。長腓骨筋 → 大腿二頭筋とつながる筋肉の「拘縮リレー」が起きているはずです。

その上はどうなっているか。大腿二頭筋の上の端は坐骨のところにあります。ここには尻餅の後が残ってコリコリになっていることが多いですし、さらにその上、坐骨と仙骨を結びつける「仙結節靭帯」を硬くしている人が非常に多い。これについては鶴田聡さんの『仙骨理論 パート1』(たにぐち書店、2003)という本が有益です。

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アーモンド

外くるぶしの斜め下

というわけで、足裏から仙骨にいたる筋肉の拘縮リレーが起きています。仙骨のところまで続いているわけですから、これが全身に影響しないわけがありません。左なら左側だけで、こういう拘縮リレーが強く存在しているなら、それによって仙骨が引っ張られますから、骨盤が傾いたり回旋したりする原因になっていると考えられます。事実、骨盤が左に傾いている人が非常に多い。右に傾いている人もいますけれど、比較すると、左に傾いている人が圧倒的に多い。

話しが膝痛から遥かに離れて、全身の話しになってしまいました。それというのも、足裏から始まる拘縮リレーが、たいへん強い影響を与えていることが分かって来たからです。そして膝痛も、この流れの中にあると言わなければなりません。 → 膝痛(4)に続く

( 2010. 04 初出、2014. 04 改訂)