母趾操法(詳論)
足の親指をちょっと操作するだけで全身が大きく変わります。簡単で効果がありますから、ぜひやってみてください。
母趾操法のやり方
操者は、仰臥させた受け手の足元に坐り、受け手の足の母趾(第1趾、親指)をぐっと押さえて操者と受け手が押し合い、操者の身体が後ろに押し動かされるほどまで押すように言って、操者の身体が押されたらパッと離す。 ── これが母趾操法です。
受け手の両下腿の真ん中あたりをぐっと握ってみて、どちらか硬い方、あるいは太く感じる方、あるいは腓骨の骨頭(膝の少し下、外側にある出っ張り)が飛び出している方の足に施します。左右差がない場合は、両足同時でもかまいません。
何度かくり返すと、しだいに下腿の開き(脛骨と腓骨の開き)が締まって、さまざまな効果があります。例えば・・・、膝痛が軽快する、下腿のむくみが軽快する、足首周辺の痛みが軽くなる、ふくらはぎの筋肉痛が消える、など。どうぞお試し下さい。症状が軽くない場合は、繰り返しやることも可能です。
ただ、片足ばかりをやった場合は、脚長に差が発生しますので、何度かやった最後に、両方を一度やっておくことが必要です。
力が入りにくい時
試して見られた方の中には、どうも親指に力が入らないなあ、と感じた人があるかもしれません。多くの人では、老人でもかなり強い力が出るものですが、確かに力の入らない人がいます。足元に坐って本人の足の親指をぐっと押す。力が入らず押し返してくる力が弱い。そういう人です。どこに問題があってそうなるのか、正確には不明ですが、次のようにすれば、力が入るように改善させることができます。
本人を仰臥させ、操者は枕元に坐る。耳の上の端からさらに2~3センチ上に操者の両手の(親指を除く)4本指の指先を揃えて当てます。「当てる」というのは文字通りで、決してグッと押し付けるのではありません。髪の毛に手を触れているほどの強さで結構です。
そのままの位置で、3分間ほどのあいだ両手を当て続ける。その後、もういちど母趾操法を実行してみます。すると不思議なことに親指に力がはいるようになっているはずです。もちろん親指に構造的な欠陥(例えば骨折など)があれば別ですが、通常の状態の親指なら力がはいるようになるはずです。
親指に力が入らないと、歩く時に親指で踏ん張れないため歩きにくいとか、立った時に安定しないとか、そういう問題があります。でも力が入るようになれば問題が解決します。両足の左右差という別の問題があるかもしれないけれど、少なくとも安定性が向上します。どうも足の安定が悪いと感じる人はお試し下さい。ふらふらするという人の親指の力が入るようになると、フラつきがましになるかもしれません。
( 2013. 04 初出 )