痛風
痛風には膝痛と共通する要素があります。
古い友人からメールです。大学時代に音楽サークルを通じて知り合ったKさんから、知人をみて欲しいという依頼。同時に彼の妻の母(義母)もみて欲しいという。事情を聞くとお二人とも足が非常に悪いらしく、車を使うにせよとても気の毒です。紀州街道・熊野街道と、泉南のあたりを最近たびたび歩いているので、紀州街道を歩くついでに、休日にこちらから行くよ、と答えました(Kさんは大阪府貝塚市在住で、奈良までは遠い)。
さて、朝7時に家を出て近鉄と南海を使って貝塚についたのが9時です。件(くだん)のKさんの知人。かりにSさんとしておきましょう。「痛風」だと言われるので、どうすればいいか、と思案します。「痛風」を直してほしいと言う人は滅多になく、あまり経験があるといえません。講座に来た人が「痛風」で困っていたので、実習中に触ったことがありましたが、その時は腰椎を操法すると今度は胸椎が痛み、胸椎を操法すると今度は頸椎が痛むという具合で、あまりうまく行きませんでした。
最近、私は『金の力 銀の力』という本と出会い、研究中です。ただ、ここで公開する段階にまでは至っていません。ところが、足首に応用すると不思議によく効くんです。「ウソのように」という表現がありますが、本当によく効く。それで金ペンと銀ペンを携えて行くことにしました。私の体にも使ってみると足首の圧痛がまったく消えただけでなく、頭の格好まで変化してしまった。
Sさんの足首には、もちろん圧痛があります。そこで、かかとの踵骨と足首の距骨の両方に金と銀のペンで2センチほどの線を引きます。そうして数分の間じっとしていてもらう。すると、この圧痛が消えてしまうんですね。不思議だ。
膝痛と共通する要素
過去の状況を尋ねてみると、まず左足が痛くなり、次に右足、そして今はまた左足が主に痛むという。それじゃあ、まるで膝痛です。「痛風」について専門家たちはどういっているか。ウィキペディアを読んでみましょう。
── 痛風(つうふう、gout)は、高尿酸血症を原因とした関節炎を来す疾患。
これが本文の冒頭。その後にこういう記述もあります。
── 健康状態における人体の血中には、ごく普通に尿酸が含有されているが、この濃度(血中尿酸値)が何らかの理由により著しく上昇すると、本来人体が持つ恒常化機能を超えて飽和解消できず、特に体温が低い足部などにおいて、尿酸が溶解しきれずに尿酸塩として結晶化して関節包内などに付着することが知られている。
ということなんだそうですが、この説明、ヘンだと思いませんか。尿酸が過剰になることが原因だといいながら、「何らかの理由により」濃度が著しく上昇するという。なぜ著しく上昇するのか、それが「原因」じゃあないのか。
それはさておいて、Sさんの腰椎を探ると腰椎2番がおかしい。これも膝痛と共通しています。つまり「痛風」は膝痛と共通した性格をもっていて、左右のバランスの悪さがあることは間違いない。Sさんの身体には左右のバランスの悪さがあって、言い換えると、体重が左に偏るという癖がずっとあって、その結果、左足に負荷がかかり続けた。その結果、尿酸がうまく排出できないようになって、尿酸値が上昇し、関節部(とくに脛骨と距骨の関節である内果)に尿酸がたまって、痛みが出るようになった。
ところが左足があまりにも痛いので、これをかばっているうち、今度は右足に負荷がかかるようになり、右足に症状が出始めた。これをかばっていると・・そういう悪循環が続いて来たのでしょう。事実、Sさんの下腿は脛骨と腓骨が開いて硬くなっていました。これも尿酸値を押し上げた原因ではないか。
「原因」という言葉
医学の世界で考えられていることは、起きていることを逆に解釈しているんだ、というのが私の考えることです。私は、まず左右のバランスの悪さがあって、それが原因で下腿が硬くなったり、足関節の周辺が硬くなったり、そのような状況があった。その結果、尿酸値が上昇するようになった。その結果、左足に痛みが出るようになった。──こういうことです。ちなみに腰椎2番は左右のバランスに関係しています。
これを逆に捉えるから、話しがよく解らなくなるんです。まず何らかの原因があって尿酸値が上昇する。そのため痛みが出る。だから尿酸値を抑える薬などで原因を取り除けば「痛風」は改善する。そういう考えをしているわけです。で、よくなったかといえば、すでに3か月痛みで苦しんでいるという。話しがあべこべになっているから、直るものも直らない。「何らかの理由」というのをよく考えればいいんだけれどね。これじゃ「何らかの理由」が神様の位置に坐っていることになります。「何らかの理由」→「尿酸」→「痛み」となっているんですから。
私が引き上げるころにはSさんは「かなり楽になった」と言っておられたが、その後、昨日Kさんからメールがありました。
── 3ケ月の長きにわたって苦しんだ足の痛みがすっかり軽減し、みちがえるほど楽になったと喜びの声を伝えてきました。「金さん、銀さん」も頑張って励行したそうです。
そうそう紀州街道歩きは、どうなったか。紀州街道は、大阪から和歌山までの街道ですから、かなりの長丁場。一日で歩くことはできません。岸和田・貝塚間には古い家並みが続くところもあり、街道好きの人には魅力がありましたが、貝塚から先、泉佐野までは、街道の形が残っているだけで、あまり魅力もありませんでした。日照りがきつかったので、早々に引き上げました。金ペンと銀ペンについては、いずれ公開したいと思っています。
( 2014. 06 初出 )