中足骨の捻れ
足の指はしばしば捻れています。足の付け根にあたる中足骨も捻れていることが多い。これが全身に影響しているとすれば・・・
中足骨が痛い
メンテナンスに定期的に来られていたUさんは、近ごろ必要に応じて時々お顔を見せられるというリズムでいらっしゃいます。そのUさんが、今回は左足が痛いと言われる。左足のどこですか、と尋ねると、ここらへん、と左足の外側をさすって痛む場所を探し、あ、ここです、と押さえられます。
場所はどうやら左足の中足骨の付け根あたりらしい。中足骨というのは、指と足首を結ぶ長い5本の骨のことです。もちろん骨と骨の間には水かきに当たる肉がある部分です。そのうちで、小指の付け根にある中足骨の足首に近い側が痛むという。この骨は捻挫をした後で変位したままになっていることがあるので、捻挫をしかけましたか、と尋ねても、いいえ、という答え。
まあ簡単だろうと早速に取り掛かりましたが、これがシャクなことに一筋縄で行きません。狙いを定めて痛みのあるのと反対側、つまり足裏から指を当ててしばらく30秒ほど緩めてスッと抜くということを繰り返すのですが、一向によくなりません。こういう時はあせってはならない。じっくりと取り組むことです。でもそんなに複雑な歪みを起こす部分とも思えません。どうしたものか。
中足骨が捻れた
足の中足骨は、縦に、つまり上に変位するだけでなく、横に変位していることがあります。横の間隔が変化して、溝状の部分に痛みが出ていることが多い。第3指の付け根の左右どちらかに圧痛、それもかなり痛い部分のある人が多く見受けられます。この時は、中足骨が横に変位し、そのところで骨と骨の間隔が詰まっています。ですから中足骨の横から少し指を当ててみると、圧痛が軽くなります。
そういうことがあるので、これは隣の中足骨も変位しているのかもしれないと考え、探ってみると、やはり隣の骨にも少し圧痛を感じるようです。そこで、親指側(いま取り組んでいるのは小指側)から順に、骨と骨との間隔を少しずつ変化させてみました。その後、足裏から斜め方向を狙って30秒ほど緩め、スッと抜くと、あ、消えた。中足骨が捻れて斜めになっていたんですね。
見極めが難しい
と、このように書けば簡単ですが、たかが指1本だけ(Uさん、失礼!)に、およそ20分はかかっています。途中で諦めてしまえば、それまでです。まあ粘ったかいがあったというもの。しかし振り返ってみると、ここで粘れたのは、このようなケースは必ずよくなるはずだ、という確信があってのことで、この確信が持てるかどうか、という点が難しいといえば難しいかもしれませんね。観察法も難しいですが、よくなるはずという確信が持てるかどうかも難しい。これはどうにもなりません、という見極めはもっと難しい。
たかが足の指というなかれ。この中足骨が捻れると、全身に影響を及ぼしていることが少なくありません。まず膝に影響する。そうすると、骨盤が捻れる原因になったり、肩が前に巻き込む原因になったりします。恐るべし、中足骨です。
後で分かったことですが、中足骨の捻れは、もっと簡単な方法で解決できます。足の指から中足骨にかけての部分に手を包みこむように当てて3分ほど「愉気」をすればいいんです。「愉気」のやり方については、該当項目をお読みください。
(この記事の写真は、いずれも奈良市北部の佐保路にある寺社です)
( 2011. 05 初出 )