靴の紐
靴の紐のしばり方で脚の疲れが随分ちがいます。毎日お世話になるものですから、靴は楽に履きたいものですね。
紐(ひも)は飾りにあらず
突然ですが、靴の紐(ひも)は何のためにあるのでしょうか。ひょっとして飾りだと思っている人が多いのではないでしょうか。せっかく紐靴を履(は)いているのに、面倒くさいので紐を解き直さず、いつもそのまま無理やりに足を突っ込んで履いている人はいませんか。あるいは踵(かかと)を踏んづけて履いている人はいませんか。そんなことをしていると、せっかくの靴がもったいない。ちょっと立ち止まって考えてみてください。
とは言え、家を出るとすぐクルマに乗り、会社の駐車場に着いたらすぐ仕事場に到着という人は、これを読まれる必要がないかもしれません。どうぞパスしてくださって結構です。でも時々少しばかりは長い距離を歩くという人は読んでみてください。
足の動きを楽にする
靴紐を結ぶ目的はおよそ2つあります。一つは靴をしっかりと足に固定して足の動きを楽にすること。もう一つは足首を締めることです。これら2つを少し考えておこうと思います。
紐をしっかり縛(しば)るには、紐を足先の方まで一度ゆるめることが必要です。足首のところでいくらグッと縛ってみても、先の方が緩んでいると、しっかりと結んだことになりません。ですから、普段ひもをそのままにして履いている人は、いちど紐を先の方まで緩めて、それぞれ穴のところで一度ずつグッと引いてから足元を締めるようにしてみてください。
そうすると靴がピタッと足にフィットするはずです。試しに片方は緩いまま片方だけグッと締めて歩いてみてください。どちらが楽か。グッと強く締めた足は楽に感じ、緩いままの足は何だか心地よくないなとか、頼りないな、と感じられると思います。
紐が緩いと、靴を足と一緒に動かすために余分な力を掛けているようです。スリッパは緩くて楽だと思っても、それは室内だけのことで、スリッパとかツッカケで道を歩いてみれば決してそうでないことが分かる。履物の状態をコントロールするために余分な力を使っているでしょう。グッと締めてあると、足が動けば自然に靴もそれに伴って動いている。そういうことだろうと思います。実際に歩いてみると、グッと締めてある方が疲れにくいのが解ります。
足首を締める
もう一つの目的は足首を締めることです。といっても昔よくあった編上靴は登山など特殊な目的以外はあまり使われません。たまに若い女性が編み上げのブーツを履いているのを見かけますが、まあその程度でしょう。この目的は主な目的ではなくなっていると言えるかもしれません。
でも「母趾操法」の項目に書いたように、足の状態はその上の下腿の状態と密接につながっています。足首がグラついていると、下腿の二本の骨が開きやすい。足首はできるだけカチッと締まっているのがよろしい。この意味で、足首のすぐ下の部分(足根部)である足首と甲高の間の部分ですね、ここが締まっているのは下腿の開きを防ぎます。長距離を歩いても疲れにくいのは、そのためでもあります。
靴をしっかり締めるために、どうすればいいか。まずは紐をいったん緩め、穴ごとにしっかり締める。その後しっかりした締めかたをすればいいですね。
( 2013 04 初出 )