足裏の事故
「足ツボ」マッサージは痛いけれど気持ちがよい、と考えて旅行先などで気楽に受ける人がいらっしゃいます。でも、問題がないわけではないようですよ。
脚がシビレる
左脚から足先にかけてシビレがあると訴える男性Mさん。このような状況では、ふくらはぎにある腓骨(ひこつ)や膝が異常になっていて、そのため筋肉や靭帯が硬くなっていることが多い。そこで骨盤・膝・腓骨・足首など周辺の調整をしたところ、シビレはかなり軽減しました。足の軽いシビレだけが残ったようです。
しかし次に来られた時には、やはりまだ足首から指先にかけてシビレがあるとおっしゃいます。調整が不足しているのだろうと判断して操法を続けました。一応シビレが軽減したので、それで終わりました。
ところがその次も来られて、また同じようなところがシビレているとおっしゃいます。神経に問題のある場合もないわけではないので、これは神経に問題があるのだろうか、と思いながら調整しましたけれど、あまりすっきりとはシビレが取れない様子です。時間切れになって、この回も終わりました。
足の骨がズレていた
その次もまた同じような訴えです。やはり神経に何か問題があるのだろうかと疑いました。ただ、そういう結論を下すのは最後の最後にしたい。まず徹底して観察することです。すると驚いたことに、足の甲の骨にあちこちズレがあるようです。一つひとつ細かく見ていくと、あちこちに圧痛があるといわれるのです。そんなこととは夢にも思いませんでした。とりあえず腰をすえて一つひとつ丹念に見て行きました。
すると大方の骨がずれているではありませんか。シビレが改善しないのも当然です。何かこれは硬いものを蹴飛ばしたとか、上から何かが落ちてきたとか、そんなことがあったのではないですか、と尋ねてみますと、そういうことはない、ただ、足裏の指圧に行って、その後からシビレて来たように思う、と言われるのです。それです、とすかさず言ってしまいました。
足裏の指圧というのが、指圧屋さんなのか、足裏マッサージ屋さんなのか、そのあたりは判然としませんが、いずれにしても足裏を非常に強く押された。その後からシビレを感じるようになったということです。ズレが半端ではありません。足首から下の骨は片足で26個あるはずです。そのうち15個ほどがズレていました。こんなひどいズレを起こしている足は、もちろん初めて見ます。以前にも足裏のツボを強く押されて、骨がズレている例を見たことがありますが、1個だけでした。半数以上とはすさまじい。「過ぎたるは及ばざるがごとし」。
自分でも直せます
足も身体の一部ですから、足ツボに取り組んでいる方々は慎重の上にも慎重にされているはずです。ですから、私が言いたいのは、足ツボが危ないということではなく、足ツボを押される時に施術する側も受ける側も気をつけてください、ということです。足の甲の関節部(小さな骨と骨のつなぎめ)に圧痛があれば、それは骨のズレです。気をつけてください。
この程度のことでわざわざ遠い朱鯨亭まで脚を運んでいただくのは心苦しい。ご自分でも直せますから、ぜひそうしていただきたいですね。まず、足の甲を丹念にあちこち押してみます。どこか押して痛いところがあれば、そこの骨がズレている可能性が高い。痛むところの真裏からギュッと親指で力で入れます。そして、その力をパッと抜く。これを2~3回くり返す。その後、圧痛が残っているかどうか検査します。圧痛がなくなっていればOKです。
( 2008. 06 初出 )