子どもとスポーツ
近頃は、小さい時から習い事をしたり、スポーツをしたりしている子どもが多い。これには問題があるのではないだろうか。
小さい子どもの歪み
元気な女の子です。
── Kさんですね。下のお名前は?
── Hでーす。
── KHさん。お歳は?
── 7歳。
── どこが痛いんですか?
── ここのところ。
と指さしたのは、右の骨盤の前です。典型的な骨盤の捻れの症状です。そのあたりを指で突いてみると、確かに痛いらしい。骨盤が捻れているだけなら、共鳴法で簡単に正常化するはず、と甘く見たのがいけなかった。
いくらやっても痛みがとれません。これじゃあ老人並みだ、と頭の中で思いながら、うつ伏せになってもらいます。骨盤の前後にタオルを当てて、微圧をかけるという原始的な方法でやってみよう。骨盤が前に行っているところにタオルを当てて、後ろに出ている方の腸骨の後ろと坐骨とに手を当てて、軽く押さえて、じっとしていること、数分。
── これで、どう?
── 少しまし。
── えっ。まだ。えらく硬いなあ。何かスポーツでも。
── サッカーを。それからバレエも。とお母さん。
子どものスポーツは難しい
子どものスポーツには困ってしまうなあ。いつも引き合いに出すシュタイナー教育のルドルフ・シュタイナーの言葉。
── できるかぎり早く子どもが人間的・地上的な意味で利口になってほしいと今日の人間は望んでいるが、それは最も好ましくないことだ。今日の意味で、子どもが可能なかぎり早く利口になると、「なんと早く、この子は神から見捨てられたのか」と言わなくてはならない。
この言葉が頭の中でもやもやとする。これは勉強の話しだけれど、スポーツだって同じじゃないだろうか。そして何より、足首を傷めているに違いないのだから、子どものスポーツも困ったものじゃなかろうか。
さきほどと同じように微圧を今少し続けます。
── これで、どう?
── ( うん、うん ) とうなづく。
── それじゃあ、仰向けになってね。足を見てみよう。
と足首を見ると、外反母趾です。右の距骨の下に圧痛がある。足首に左右差があって、骨盤が捩れる原因になっているに違いない。小さい時からサッカーをすると、足がひどいことになってしまうのは、すでに男の子で経験済み。
金ペンと銀ペンで線を引くと、圧痛は簡単に消失しました。
──サッカー好きなの?
── うん。
── バレエも?
── うん。
うーん。 どうすべきか。この前、バレエをやっている女性から、トー立ちで女の子たちが怪我だらけという話を聞いていましたから、バレエも発育期の子どもによいはずはない。
小さい時からやらせるべきか?
── お母さん、足に負担が来ていますから、サッカーかバレエか、どちらかは考えなおした方がいいでしょうね。中学に入ってから始めても遅くない、と思いますが・・・。
── はい。バレエは問題ないんじゃないですか。
── トー立ちに問題があると思います。あれは足首にすごい負担ですから。
── はああ。 トー立ちね。
というようなことで終りました。同じような境遇の子どもが全国にたくさんいるとしたら、大人は考えなければなりませんね。
サッカーの試合をテレビで子どもに見せるのも考えものだと私には感じられます。若いスポーツ選手を英雄視するメディアの扱いに問題があると考えるのは私の歪んだ考え方でしょうか。
( 2014. 10 初出 )