電脳 コンピュータをどうするか
来る日も来る日もコンピュータを使っている人が多いですね。お仕事は ―― と尋ねると、パソコンです ―― と答える人が大半といってもいい。とりわけプログラマーとかソフト開発者とかは、一日コンピュータと付き合っているのでしょう。それも半端な時間ではありません。朝一番から終電まで延々と作業している人が多いらしい。どうみても異常ですよ。
神経の対応能力を超えている
IT革命とかいうけれど、整体の立場からすれば、もういい加減にしてほしい ―― といいたくなる。ゲームのし過ぎで死んだ人がいるといいますが、そんな生易しいものではありません。何しろ仕事ですからね。明けても暮れてもコンピュータに向かっているわけです。
どんな人が来るか。一例をあげてみましょう。あるソフト会社の取締役は、ソフトの最終チェックを自分でやらないと済まないとかで、からだのあちこちが常に痛い。それもどこか決まった所ではなくて、あちこち場所が変わるのだそうです。ある週は、ここが痛かったと思うと、次の週は別のところが痛い。これでは私もお手上げにならざるをえない。
また、あるソフト開発者は、肩が悪くて手がしびれる。やっと肩を直したと思っても、翌週には、もう前の状態になっているありさまです。なにしろ一日中マウスをカチカチしているわけですから、肩がカチカチになるのも(シャレをいってる場合ではないが)仕方がない。自分でも、直しては壊し、直しては壊し、の繰りかえしだ、と嘆く。
だれも対策を考えていない
からだを動かさないことからくる問題も大きいでしょう。でも、それ以上に神経にかけている負担が、想像を超えるほどすさまじいのではないでしょうか。一日中、機械の前に座って画面を見つめ続けるなどということは、神様でもご存じなかった。異常事態です。もちろん、神経のシステムに、それに対応する機能が欠けているのでしょうね。
「自律神経失調」などという病名を付けられるのは、かわいいほうでしょう。その程度でとどまっていれば、まだしも。これからさらにひどい症状をもった人たちが出てくるだろう。自律神経の中枢である、脳幹の部分がいかれているのかもしれません。とりわけ視床下部ですね。ここが皆いかれつつある。当人はそんなことに気づいていませんが、そういう事態が進行しつつあるようです。こんな社会がこようとは、コンピュータを作り出した人たちは夢にも考えなかったに違いない。
だれか対応策を考えているのだろうか。そのようには思えませんね。とにかくひどい状態になった人たちがやってきますから。
何か運動を
コンピュータを連続使用する人たちが世の中の多くを占めるようになってまだ時間が短いですから、この先、どうなるかは予測がつきません。でも考えられることは、脳の一部、とりわけ脳幹に異常が出てくることです。どのような異常なのか、すでにその片鱗はうかがえるようになってきているかもしれない。いや、先にあげた人たちも、すでにその犠牲者なのかもしれません。
身体の側面からしか、今の状況に迫れないので、身体の変わりようを拾い上げておきましょう。ともかく身体が硬くなってくること。じっとしているんだから、これはやむを得ないでしょう。こういう状態が続くと、からだ中の組織で血液がうまく流れなくなってくる。そうすると、さらに身体が硬くなっていく。悪循環です。
運動をすればいいのですけれど、多くの人は歩くことさえしません。車に乗るばかり。たまにジムへいって筋肉トレーニングをする。これで身体がほぐれたと思っているのかもしれませんが、かえって筋肉を硬くしている。筋肉を鍛えてそのままだと、かえって硬くなる。ですから鍛えることを考えるより、硬くなったところをどうやって柔らかくするかを考えたほうがいい。
ヨーガをするなり、ストレッチをするなり、ともかく筋肉を柔らかくする努力をしないと、だんだん苦しくなってくるかもしれない。何がよくないといって、血液が流れないのが身体にとって一番よくない。
肩がこるとか、腰が痛いとか、そんなこと以上の問題が、どんどんと積もりつつあるのではないだろうか。これが取り越し苦労におわれば、それに越したことはないのですけれど、心配です。