右か左か
人体の右と左とは、どう違うか、という議論です。エスカレーターや道でも左右どちらかへ偏るのは面白い現象ですね。
エスカレーター
あなたはエスカレーターに乗ると、どちら側に立ちますか。左?右?これは土地によって違うようで、関西は右ですね。関東は左。
ところがところが。京都の周辺は妙なことになっていまして、どうも左らしい。確かにJR京都駅に行ってみるとたいていの人が左に立っています。これを詳細に調べた人が何人かいて、「エスカレーター東京と大阪の違い」という記事によると、左右の境目はJR京都線(東海道線の一部)の桂川駅と京都駅の間だろうというのですが、なぜなんでしょうね。
念のため関西でも南の方、近鉄線を調べてみると、青山トンネルを境にしているようです。ここから西は右、東は左です。およそ三重県と奈良県の境が立ち方の境界線になっていることになります。
またこの方によれば「ロンドンは右だ」と証拠写真が載せられています。こうなれば、何が原因なのか詳しく調べてみないと簡単には結論がでません。どなたか、世界中を回って調べて見ることにしますか。そういえば5年前、ハンガリーのブダペストに行った時に地下鉄に乗りましたので、その時のエスカレーターの写真を調べたら、これは左でした。ドーヴァー海峡あたりに境目があるのでしょうか。
右か左かというテーマはさざまに人の興味を惹くらしく、なぜ右手が優位なのかについて書かれた本までありますし、蔓植物の捻れ方についての研究もあるみたいです。貝殻の捻れ方とかね。
道の歩き方
道のどちらを歩くか、というのも興味あるテーマです。真ん中が車道になっているところは問題になりませんが、人通りの多い商店街でどちら側を人が歩いているか。
たとえば、大阪でいうと「心斎橋筋」の商店街。いつ行っても必ず人は左側通行になっています。京都でいえば「寺町」や「新京極」の通りでしょうか。神戸なら「三宮センター街」。こういうところを歩いてみると、ルールがあるわけはないのに、どういうわけか必ず人は左側を歩いています。もちろん自然に出来た秩序を乱して、右側を無理に通行している例外があることは否定しませんが、心斎橋などは、そんなことをすれば歩けないほど混雑しています。
ちなみに奈良の「東向(ひがしむき)」商店街や「餅飯殿(もちいどの)」商店街は心斎橋ほどの賑わいがないので、わりあい雑然としている印象です。右とも左とも決めがたい時が多い。だんだん混雑して来るにつれて自然に左側通行に移行していくのでしょう。
このテーマは色々議論のあるところらしく、心臓が左にあるから、左を守るために左側を歩くのだという議論を聞いたことがありますが、それが正しいならなぜ関西の人たちはエスカレーターの右に立つのか説明がつきません。むしろ私は、なぜ心臓が左寄りなのか興味がありますね。
トラックはなぜ左回りか
これとよく似たテーマは、なぜ競技場のトラックは左回り(逆時計回り)に走るのか、です。右回りに走るとぶつかって倒れる人が多いからだ、事故が続出するからだというのですが、本当でしょうか。
私の推量をいいますと、左に重心のある人が多いからかもしれません。人の身体は大体において、重心側が短縮になることが多い。それはそうでしょう。そちら側にいつも余分な重力がかかって圧縮されているわけですから。左に重心があればわずかながら左側が縮み、右側が伸びています。ひどくなると、仰向けに寝た時に足元から見て「く」の字になります。
すると右脚と左脚とでわずかながら歩幅が違ってくる。左脚の方がわずかに歩幅が狭いことになるでしょう。左重心の人が多いのなら、逆時計周りの方が全体として楽だということになりますね。左回りをするなら、どうしても左脚を少し少なめにしなければなりませんから。もちろん右重心の人もいるので、すべての人にとって逆時計回りが楽なわけではありません。右回りに回ると事故が続出するという話しが100%信用できないのは、右重心の人もけっこういるからです。
( 2013. 01 初出 )